第3話 遺跡出現までの10日間【1日目】 その1
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【1日目】 その1
「では、お気を付けて」
「あ、ありがとうございました」
無口な騎士さんに裏門の外まで連れていかれた僕は騎士さんにぺこりと頭を下げる。正門を見たことはないがとてもお城のものとは思えないほど質素な門に少し戸惑う。
「いえ、仕事ですから」
騎士さんはそう言うとぱたりと裏門の扉を閉じた。も、もうちょっと愛想があってもいいと思うんだけどなぁ……………。
「こ、これからどうすればいいんだろう……」
とりあえずいつまでもここにいてもしょうがないので、独り言を言いながら僕はおいしそうなにおいが漂ってくる方へと歩いて行く。しかし……ここは薄暗いな……、ネズミがチョロチョロしてるし……うわっ!? なんだあれ……ご、ゴキブリ!?
汚れた壁をカサカサと動いている決して触りたいとは思わない奇怪な虫に腰を抜かしそうになる。こういう時、拳は使えないよな……。
「うわぁ……」
気づいたら暗くてジメジメした狭い路地から少し、いや結構広い路地に出ていた。色々な屋台が並んでおり沢山のエルフたちが歩いたり荷物を運んだりしている。
「ヒソヒソ……」
「ねえ……見てあの人……服に血がついてる……」
「ヒソヒソ……」
「エルフじゃないね……なんだろう……」
「ヒソヒソ」
「耳が短いよ……」
「ヒソヒソヒソヒソ……」
…………………み、見られてる……見られてますよ僕……。
「あ、あのぉ……」
「へいらっしゃい!」
小腹が空いた僕は一番近くにあった屋台でご飯を買おうと店番のおじさんに話しかける。
「こ、これください!」
串焼肉みたいなものを指さしながら、ちょっと緊張しながらも革袋から金貨を取り出しおじさんに渡す。
「!?」
するとおじさんの瞳が驚愕に代わった。
「ど、どうかしました……?」
「いやいやあんちゃん! どうかしましたかって……アイスル牛の串焼き一本で金貨一枚って……お釣りがないんだが……」
「そ、そうなんですか……」
「おうよ、金貨なんて一般人は滅多に使わないからな。まあ冒険者とかなら別だが……。あ、十本買ってくれたらぎりぎりお釣りが渡せるぞ」
がさがさとお金が入っている箱を覗き込みながらエルフのおじさんが言う。じゅ、十本か……さすがにそんなには食べれないな……でも両替もしておきたいししょうがないか……。
「じゃ、じゃあ十本お願いします……」
「まいどあり!」
エルフのおじさんはにっこり笑うと焼いていた串焼肉を十本袋に詰めて僕に手渡してくれた。
「あとこれ…ちょっと重いけど気を付けな」
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