エルフの城で 【3】
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いよっ!」
「ああー!」
泣きそうな顔になりながら僕はアリスから『解析の魔道書』を取り上げる。
「見られたくなかったらそこの右ページをちぎって自分で持っておくといいですよ」
「い、いいんですか!?」
それを眺めながらイオラさんがニコニコと微笑み言ってくる。
「はい、普通はみんなそうしますよ。あ、その魔道書、少し根が張りますけど普通に売ってたりするのでケントさんもよかったら買ってみてください」
「は、はい」
僕は頷きながら『解析の魔道書』の右ページを引きちぎるとポケットの中にねじ込んだ。
「ちぇっ、ケントのケチ!」
アリスは残念そうな表情を浮かべるがすぐにアッと思い出したように言った。
「そうだ、後で私の見せてあげるよ! そしたらケントのも見せてくれる?」
「えぇ…………」
「だ、だめ………?」
「グフッ!? わ、……わかりましたよ…………」
アリスの上目使いがあまりにも可愛くて吐血しそうになりながらもかろうじて答える。
「やった! 約束だよ!!」
「は、はいぃぃぃぃいいいい」
アリスは僕の言葉にパッと顔を輝かせると僕に飛びついてきた。いや、ほんと心臓に悪いです……。勘弁してくださいぃいいぃいぃいい。
「失礼します!」
「「「!?」」」
僕がアリスに飛びつかれて石像のように固まっていると、突然部屋に右手に大きな槍を持ち、西洋の騎士の鎧見たいな物に身を包んだエルフが入ってきた。頭には騎士がかぶるような兜も装備しており顔も髪もよく見えない。
「ヤマザキケント様! お迎えに上がりました!!」
だって、なんかちょっと怖そうだなぁ……。ヤマザキケントさん早く行ってあげ―――――――――僕じゃないですか……。
「情報が早いねー、さすがママだ」
アリスが僕に飛びついた状態で背中をポンッと優しく叩いてきた。
「行っておいでよ、大丈夫、命はとられないって!」
「え、いや……え……と、とりあえず行けばいいんです……よね……」
とりあえずベットから立ち上がると騎士の格好をしたエルフさんの方へ歩いて行く。うわ……制服が血で汚れてる……。着替えたいなぁ……。
「ではついてきてください……」
「いってらー!」
「行ってらっしゃいです」
「ハハハ、い、行ってきます」
部屋の入り口から元気に手を振ってくるアリスとイオラさんに見送られながら僕はガシャガシャと鎧を鳴らして歩く騎士さんに急ぎ足でついて行った。
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