この世界に来て 【3】
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ハンスを笑顔で見送ると
「もしかしてその顏、魔法を見るのも初めてなの?」
アリスが僕の顔を覗き込むようにして聞いてくる。あ、あれが魔法なのか……。
「は、はい。僕のいたところでは魔法は空想上のものとされてました……」
僕はポカンと口を開けて遠ざかっていくハンスを見つめていた。
「へぇ……そうなんだ、じゃあ少し説明しよう! ハンスが使っている魔法はね、風魔法の中級技なんだ。移動するときにかなり便利なんだよぉー、まあ私は使わないけどね!」
か、風魔法? 中級?? だめだ、わからない単語がありすぎる。
「そ、そうなんですか……」
とりあえず相槌を打っておく。
「お、始まるよ!」
ゴブリンたちと団長さんたちの距離が残り50mを切ったところでアリスが言った。
すると、団長が自分の大剣を背中から抜くとぐるぐると回転する。そして――――――――――
「うおりゃああああああああああああああああああああああ!!!」
ここからでも聞こえるくらいの大きな声で叫びながら大剣から手を放す。
「ぐぎゃあああ」
「ぶびいいぃい」
大剣は回転しながら先陣を切っていたゴブリンたちを真横に切り裂いていき生えていた太い木の幹に突き刺さる。
「うわぁ………」
ゴブリンたちが真っ二つになるのを見てちょっと気分が悪くなった僕は視線をそらして深呼吸する。
「団長! 何剣投げちゃってるんですか!! ケント君が見てるからって調子に乗らないでください!!!」
「う……、すまんハンス」
杖から子供の頭ぐらいの大きさの火の球を出し、ゴブリン達に放ちながらハンスが団長を窘めるとガバラン団長はシュンとうなだれ木の幹に刺さった大剣に向かって走り出す。
「グルギャアア! イカセルカァ!!」
途中何人ものゴブリンが行く手を遮ぎろうとするが団長はタックルで全部蹴散らすと剣を木の幹引き抜き暴れだす。周りのエルフたちもハンスや団長に負けない活躍をしている。槍で突く者、剣で斬る者、魔法を唱えるもの、弓で射る者。
うわぁ……なんか映画みたいだ………。僕は思わず心の中でつぶやく。
ん……あれ? さっきまでと周りの草の色が変わってる気が……する……。ふとした不安が頭をよぎる。
「ね、ねえアリス……」
団長たちの戦いに夢中になっているアリスに声をかける。
「ん? なに?」
一応反応してはくれるがアリスは団長たちの戦いから目を離さない。
「な、なんか先ほどまでとは草の色が違―――――――」
プスッ
何ともいえない音を立てて小さな矢がア
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