真逆の龍
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うとかは関係ないんだ。俺は俺の意思で決めてる。曹操の小娘と仲良くなんざするつもりはない。そんでもって黒麒麟は……殺す。
俺はお前の言う“共存”を選んでもいいと思ってるって言ったよな? 孫呉はまぁ……態度次第かね。でも黒麒麟や曹操と共存する気は無い。アレは俺の……“龍”の敵だ」
あくまで自分が。あくまで自分の意見で。あくまで自分の意思に反するか否か。
劉璋の結論はそれだけだった。他人よりも自分の方が大切で、共存を選んだのも自分の利益と享楽になるかどうかを判断してのこと。
桃香とは全くの逆を行く彼を共存まで持って行けた時点で彼女にとっては僥倖と言ってもいいくらいだった。
へらへらと薄い笑いを浮かべ始めた劉璋は、のんびりと椅子を揺らして上を見上げた。
「別に俺を殺してもいいんだぜ? いくらでも戦くらいやってやんよ。きっと俺らは負けるだろう。徐庶が何やら動いてるし、黄忠の心もお前の方に傾いてる。んでもって厳顔は負けたからって義理のハザマで戦わないだろうし、魏延なんざ論外。
そっちが内戦をするなら俺らも外道悪辣全てを賭けてお前を堕としに行かせて貰うけど……その覚悟はあるんだろ? 民なんざいくらでも殺すし、お前が苦しむことならどんだけでもしてやらぁな。
ソレをした時点でお前の言う理想は幻想でしかなくなるなぁ? くっくっ」
頭は回る。益州の内乱を勝ち切ったという自負はあった。劉備を内側に入れたのがそもそもの大失敗だと劉璋は理解している。気付くのが遅かった時点で自身の先見の幅も分かってしまった。
共に戦おう、などとは口が裂けても言えない。それは男としても、劉璋という個人としても嫌だった。
――はっきりきっぱり劉備とは上か下かを決めなきゃならん。お前は上とか下とかどうでもいいとか思ってるんだろうが……外から来た奴なんぞに俺の居場所で俺よりでかい顔をさせるわけにはいかないねぇ。
は……と短く息を切り、彼はまた桃香に視線を落とした。
じっと文を見つめたままで彼女は動かない。何を考えているのか、劉璋には分かるはずもない。
「ま、とにかく情報を聞いただけだろうけど俺にもこれだけは言える。
黒麒麟は絶対にお前の敵だ。お前の大事な仲間って奴を傷つける敵なんだ。殺すつもりが無いなら俺を巻き込むな。こちとら迷惑なんだよ。殺すつもりが無い味方のせいで殺すつもりの俺らが我慢しなきゃならねぇってのはさ。
それと……ぜってぇによ、俺じゃなくても思ってるぜ? お前らの仲良し戦争ごっこに……俺達の命を賭けさせるなってな」
戦場に立たずとも、彼には自分と同じような心理を持つ人間が居ることを知っている。
ぎり、と歯を噛みしめた桃香は劉璋を強く見据えた。睨んだわけではなく、真っ直ぐに。
「うん。きっとそう。私達
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