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少女1人>リリカルマジカル
第十五話 幼児期N
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らしく、何度も確認するようにうなずいている。妹は俺から視線を外し、母さんの方へと向き直した。

「あのね、お母さん」

 アリシアは、うきうきしたように言葉を続ける。その時、俺は記憶にある妹の言葉を思い出していた。そう、アリシアの言葉の続きは確か―――


『私、妹が欲しい!』

「私、お姉ちゃんになりたい!」


 ……そうだ、こんなふうに妹が欲しいと言って。…………あれ?

「ア、アリシア。その、お姉ちゃんになりたいの?」
「うん!」
『まさか、このような下剋上の仕方があったとは』
「にゃう」

 そこ納得しないで。感心しないで。いや、あのちょっと本気で待って下さい。突然のことに頭がフリーズして追いつかないのですが。似たような感じだけど、なんか違うよね。 原作と違う言葉になったとか、そこかなり重要なんだけど。それよりも今の言葉の方が、俺としては衝撃が大きいんですけどぉ!


「わかったわ。……アルヴィン」
「え、あの母さん。俺も確かにアリシアのお願いは聞いてあげたいのですけど、俺にもこうプライドというものがありまして」
「今日から、弟になってくれる?」
「こんな展開聞いてないよ!?」

 お兄ちゃんから、弟ですか!? 確かに産まれる順番は、双子だから僅差であることは間違いないけどさ。それでも、お兄ちゃんと弟の差は大きいよ!

『ますたー。妹の……いえ、お姉さんのささやかなお願いを聞いてあげましょうよ』
「にゃ……ぷっ。にゃうにゃー」
「完全アウェー! わかっていたけど、この家族アリシアに甘いよ! 俺も自覚あるけどさ!!」

 というか、完全に面白がっているだろお前ら。リニスなんて噴出したの見たぞ。

 えっ、というか何がどうしてこうなった。未来に立ち向かう不安とか、原作の運命を変えられるかとか悩んでいたじゃん。さっきまでのシリアスはどこにいったの!? 戻ってきて、シリアスさん!


「アルヴィン」
「母さん、俺…」
「どんなことも、自分が受け入れるだけの気持ちがあれば、前に進めるものよ」
「俺の目を見ながら、せめて言ってよ」

 そんな悟ったように言わないで、母さん。今までどんな理不尽な目にあってきたのさ。やっぱりそれだけ、仕事が大変だったんだろうか。

 母さんだって、よくわかんないけど現実を受け入れているんだ。この結果でアリシアが喜ぶのなら、俺だって覚悟を決めよう。大丈夫、俺が俺であることは変わらないさ。立場が変わっても、アリシアを守っていくことは出来る。

 俺はぎゅっと拳を握りしめながら、アリシアに歩み寄る。母さんたちも、固唾を呑んで見守っている。さようなら、―――今までの俺。


「ア、アリシアお姉ちゃ……」
「お兄ちゃん、どうしたの?」

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