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少女1人>リリカルマジカル
第十五話 幼児期N
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り札を使ってでも、リニスを乗り越えてやるぜ!


「みんな元気ね。もうこんなにも、はしゃいじゃって」
『マイスターもだいぶ図太くなりましたよね』
「……どんなことも、自分が受け入れるだけの気持ちがあれば、前に進めるものよ」
『そんな目をそらしながら、語られても』

 そんな俺たちの行動を、生温かく見守る母さんでした。



******



「納得いかない。なんなの、この子猫。マタタビの誘惑にすら、魅了されないなんて」
「ふっ」
「何その爪が甘いな、という顔は。確かに俺もリニスがマタタビに屈する姿が想像できなかったとはいえ、一応猫だろ。ライオンもごろごろ言わせんのに」
『リニスさんもリニスさんですが、マタタビ持ち歩いていたますたーも、色々おかしいですよね』

 隙ぐらいはつくれるかと思って、準備はしていた。あと、ごろごろ言うリニスが見たかったのもあるけど。俺がマタタビを持っているぐらい、そこまでおかしくないだろ。

「しかも勝負が終わった後、マタタビ強奪されたし」
「せんりひんって言うんだっけ?」
「アリシアには、俺のサンドウィッチ1個あげたじゃん」

 結局勝負はアリシアの勝ちだったため、お昼のお弁当を分けることにしました。現在は、レジャーシートを敷き、その上に母さんが作ってくれたお弁当が広げられている。バスケットの中には、俺たちの大好物でいっぱいだった。

 俺はサンドウィッチを嬉しそうに食べる妹と、マタタビと戯れるリニスを見ながら、唐揚げを1つ口の中に放り込む。皮のパリパリ感と、中の柔らかさが絶妙だ。おいしい料理を前に悔しんでいるばかりでは申し訳ないし、気持ちを切り替えよう。嬉しそうな2人を見れてよかったしね。


 あの後、花畑に突撃した俺たちはたくさん遊んだ。それに、母さんに花の冠の作り方を教えてもらったため、アリシアと一緒に作った。結び目が絡まったり、ずれたりでなかなか難しかったけど。母さんに指導してもらいながら、ようやく形になった時は嬉しかったな。

 ちなみに今は家族全員、頭の上が花畑になっていたりする。器用さを発揮したアリシアが、リニスや母さんの分も完成させたからだ。最初は母さんも恥ずかしがっていたが、今は普通にお茶を飲んでいる。コーラルの上にも指輪のような小さな花が飾られていた。

「ふふん、お兄ちゃんに勝てたー」
『えぇ、さすがはあのますたーの妹様です』
「コーラルはどういう意味だ。だけど、次は絶対に勝ってやるからな。それに今回のお兄ちゃんには勝てたかもしれないが、これからさらに第2、第3の俺と出てくるかもしれないぞ!」

 みんなの手が一斉に止まった。

「……お兄ちゃんがいっぱい」
「……にゃぁ」
『……うわぁ』
「……いっぱいのアルヴィン」
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