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少女1人>リリカルマジカル
第十五話 幼児期N
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たのに。

 ちなみに、『リニスさんのからかい要素が…』とどこか悔しそうにしているデバイスの独り言が、後方からぼそりと聞こえてきた。……うん、俺は何も聞いてない。同じことをほんの少しばかり思ったけど、口には出してない。


 だから地獄耳の子猫が1匹、ゆらりと臨戦態勢を取りだしたのを見て、素知らぬ顔で距離を取った俺は悪くない。最近ちょびっと調子に乗っているみたいなので、一発やって下さいお猫様、なんて思っていませんから。力のないマスターを許してくれ、コーラル。

 心の中で俺は合掌する。俺は相棒を救うことも出来ない、無力なマスターだ。だから俺は、アリシアと母さんと楽しくおしゃべりをしながら、悲鳴が聞こえなくなるのを待つことしかできなかった。



******



「おぉ、綺麗に花が咲いてるなぁ」
「ほんとだ! お母さん、お花がいっぱいあるよ!」
「えぇ、とってもきれいね」

 思わず感嘆の声をあげた俺とアリシアは、目の前に広がる花々に目を奪われる。一面に白やピンク、オレンジといった様々な色や種類の花が咲き乱れている。晴れ渡る青空に浮かぶ雲の影が、いくつも平坦な地面に伸びていた。

 さらに青い衛星がはっきりと空に点在しているのがわかる。これを見ると、地球との違いを改めて感じるな。月や太陽ぐらいの大きさの星が、いくつも空に浮いているのだから。まぁ、今は見慣れたものなんだけどね。

 なんだか見ているだけで壮観な景色だ。障害物がほとんどなく、広原がどこまでも続いている。前にピクニックに行った時は、観光客の人も何人かいたけど、今日は俺たちが独占できるらしい。気候もよく、さわやかないい風がそよいでいる。

「気に入ってくれたかしら?」
「うん、驚いた。こんな場所が結構近場にあったんだね」
「そうよね。なんでも穴場だって教えてくれたわ」

 母さんいわく、開発チームのみんなが教えてくれたらしい。俺たちの今住んでいるところは自然の多い地域だから、今までよく一緒にアリシアと探検に出掛けていた。

 そこで洞穴を見つけたり、『このぉ木なんの木』のような巨大な木を見つけたこともあった。だけど、こんな場所は知らなかったな。灯台もと暗しとはこういうことか。


「でも、ごめんなさいね。本当ならピクニックは、2人の誕生日に連れて来てあげたかったのだけど…」
「仕方ないよ。その時には研究も大詰めなんでしょ? さすがにそんな時に主任の母さんが1日あけちゃうのは、まずいことぐらいわかってるよ」
「それに、お誕生日の夜は一緒にお祝いできるもん! 私、お母さんやみんなとこうしていられるだけですごく嬉しいよ」
「……ありがとう、2人とも」

 母さんは俺たちの言葉にふわりと微笑む。実際、俺も妹も今回のお出かけに不満
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