第十五話 幼児期N
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「むぅ、でもこの方法じゃ後で…。まぁ、今は思いついたものをメモっとけばいいか」
俺はさっきまで考えていた内容を、とりあえずメモ帳に書き込むことにする。メモを書き始めてから、もう2年以上経つ。最近は書く頻度が増えたため、メモ帳も3代目に先日入った。新品の物って、なぜか最初に使う時に緊張してしまうよね。1回使ったらそうでもないのに。
「なるほど。これが海外の方でも人気になった『MOTTAINAI!』精神なのか。かっこいいじゃないか」
『ただの貧乏性だと思いますよ。でも、今のは無駄に発音が良かったですね』
でたな、ツッコミめ。俺はメモ帳を閉じて、リビングに現れたコーラルの方へ振り向く。そうだ、ちょっとからかってやろう。
「どうやら落として上げられたみたいだ。コーラルが俺を攻略しに来たみたいです」
『Is your head okey ?』
つい勢いで、メモ帳をぶん投げてしまった。クリーンヒット!
アリシア達との牧場放浪から幾日過ぎた今日。日程的には少し早いが、あるイベントが前倒しで先に行われることとなった。俺はその準備を早々に終わらせたため、余った時間で日課であるメモ書き活動に勤しんでいたのである。
『それより、最近よくメモ帳に書き込んでいますが、何を書いているのですか?』
「……さっきのやり取りを、『それより』でもはや流せてしまうとは」
『慣れって怖いですよね』
何事もなかったかのように復活したコーラルに、俺は戦慄する。どうやら魔法で咄嗟にシールドを張ったらしい。防御魔法便利だな。魔法の補助機がマスターよりも魔法が上手いという現実には、目をつぶっておく。というか、使ってるの俺の魔力だし。
俺は投げたメモ帳を拾いに行き、またソファに身体を沈めた。右手に持っていた鉛筆を指でくるくる回しながら、半眼でコーラルを見てみる。なんかコーラルの俺に対する扱いが、かなり軽い気がするんだけどなー。
だんだん強かになってきた相棒に喜ぶべきか、修理に出すべきか。そういえば、防御魔法の展開速度が上がったって前に言っていたか。その理由が、これ以上のリニスのおもちゃ化回避のためにというのは、少しほろりと来たが。
「あー、メモ帳には俺が思い浮かんだアイデアを書き込んでいるだけだよ。将来的にちょっと考えないといけないことがあってね」
『将来のことですか?』
「うん。といっても今はやらないといけないことがあるから、本当にメモ書きみたいな感じだけど」
とりあえず、コーラルに聞かれたので簡単に答えることにしてみた。内容に関してはぼかしたが、コーラルはそれで納得したみたいだ。助かるけど、そういえばコーラルってあんまり俺の行動や言動を深く聞いてきたりはしない気がする。魔法関連以外は。
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