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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
進攻
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ウルガ》による無双が開始される。すると、その彼女が、向こうからやって来る音に反応した。

「ーーー来た、新種!」

その言葉に、俺は隙間から前方を伺った。

幅広の通路を埋め尽くす黄緑色の塊。
極彩色の表皮はエイのように扁平状の腕。疣足の多脚が迫りくる。
で、あれの中には何でも溶かす腐食液、と。


テラキモス


「うっわぁ……気持ち悪っ」

「式! 気を抜くなよ!」

呟いた言葉が聞こえたのか、リヴェリアさんにお叱りを受けた。

「隊列変更!! ティオナ、下がれ!」

即時かつ即行の指示がフィンさんから出された。
言われた通りに下がったヒリュテ(妹)は飛び出してくるあいとは阿吽の呼吸で入れ替わる。

「【目覚めよ(テンペスト)】」

風を纏ったアイズ。それに並んだローガがその風を銀靴(フロスヴィルト)に宿すと二人は芋虫型の大群に躍りかかった。

後衛の俺から見てもやりすぎなんじゃないかってくらいの夢想っぷり。最大の武器である腐食液でさえ風の前には無力だ。

「【閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬ーーー我が名はアールヴ】!!」

「総員、退避!」

フィンさんの声で、前衛と中衛がばっと左右に割れ、リヴェリアさんから翡翠色の魔法円(マジックサークル)
構えられた白銀の長杖から氷雪の閃光が迸る。

「【ウィン・フィンブルヴェルト】!」

三条の吹雪が通路を突き進む。
蒼と白の砲撃が迷宮ごと前方のモンスターを凍結させる。アイズとローガが横道に避難するなか、一直線に伸びる通路は突き当たりまで凍ってしまった。
後ろから見てたけど、すごい威力だな。

「いやはや、凄まじい『魔法』だ。これが『魔剣』で繰り出せるようになれればは」

「そんなかとになれば魔導師(われわれ)の立つ瀬がない」

凍てついた世界を見て、コルブランドがとんでもないことを言い出した。
こんなのが剣を振っただけで? なん本も? ……それはいったいどんな悪夢なんでしょうか

アイズ達が合流し、念のために氷像を全て破壊しながら進む。
氷と霜に覆われた壁面からは何も生まれない。そのため、なんとも容易く下部階層へとたどり着く。

「こここらはもう、補給できないと思ってくれ」

広く長い階段でフィンさんがパーティ振り返った。
アイテムを使うならここで、ということであるらしい。だが、ここまで俺達は無傷。使う必要なんてない。

昨日のリヴェリアさんの話によればここ、五十二階層からは狙撃されるらしく、そのために一気に駆け抜けなければならないとのこと。
狙撃とはどういうことなのか、詳しく聞こうとした俺なのだが、リヴェリアさんは、行けば分かる。今日はもう寝ておけ、と返すのみ
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