暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十五話:買い物への道中
[8/8]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いるようだし、このまま言わずに黙っていても戯言を事実だと公言しかねない。

 しょうがない、答えるか。


「一回だけだ、それ以上は言わん」
「うんうん! りょーかい!」
「……了解」


 楓子もマリスも、耳に手を当てて傾けるジェスチャーをしてくる。……必要あるのか? その動作。


「美人か如何かはどうでもいい、静かな奴がいいと思ってる。物事をある程度的確に判断してくれる人なら尚良い。そんで笑顔は可愛い方がいい……ってのが、俺のタイプだ」


 地味に小っ恥ずかしいんだっての……全くよ。

 俺は若干血の上った頭を、軽く振って下げるべく溜息を吐く。


「的格は兎も角、静かっ……!? ぬぐぐぅ……これじゃあ私の勝ち目が薄いっ……!」
「……やっぱり、麟斗を選んで良かった」


 楓子とマリスが何やらボソボソ言っている。聞こえたのは楓子の言葉の最初ぐらい。


「的格? “終始的外れなアホンダラ” の間違いだろうが」
「ひどッ!? っていうか美人じゃなくて良いってどういう事? 異常だよ!」
「美人は三日見れば飽きる、お前とお袋でそう思い知った」
「脈が全くなーい!?」


 頭を抱えて大絶叫し、ロッカーばりのヘッドバンギングをかます楓子から目線を外すと、今度はマリスが俺の腕をつついてきた。


「何だ?」
「……笑顔、可愛い?」


 そこにあったのは……先までと変わらぬ、某ピンクベストの持ちネタでは無い、本物もかくやの “鬼瓦” だった。


「正直怖い」
「……ハードルが高い」


 無表情のまま、全国大会を逃した高校三年の如く、項垂れた。

 家を出た時とは対照的に、どんどん暗くなっていく二人を見て、俺は何故そうなるかも理解できず、理解そようともしないまま、ムトゥーヨガー堂の中へと足を踏み入れた。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ