第十五話:買い物への道中
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度で心持を崩していられるか。
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中身の無い話と、中身を持たせようとする話を、繰り返し続けている間にムトゥーヨガー堂へ到着。
予想通り―――だだっ広い駐車場も、数十のテナントが入っている大型店舗への道も、夏休みだからと大勢の客でごった返している。
急く子供、呆れて追う親という構図がお馴染みな、子供連れが客の多数を締めていはいたが……当然一人で来店した者、友達づきあいでキャッキャとはしゃぎながら歩く者たち、中には手をつないでいるカップルも何組かいた。
専用駐車場を横切り、ふと傍を通った高校生カップル一組を、チラリと目で追う。
そうした理由は、女子生徒の方がクラスメイトであり、快活な性格で記憶に残っていたからなのだが……
「兄ちゃん、そんな物欲しげな目で見なくても……」
「はぁ?」
右隣を歩く残念が服を着た生物は、全く別のとても心外な理由で捉え、そして何時も通りバカ正直に口に出してきた。
「女子の方がクラスメイトだったんだ。記憶に残るタイプの人間でな」
「……兄ちゃん、虚勢にしか聞こえないよ……」
どうせ何を言っても自分に都合よく解釈するか、もしくは自分の論理が正しいと判断すると分かっているので、それ以上は何も言わない。
「だからさーあ、アタシみたいな『お兄ちゃんラブラブっ娘』は貴重だと思わない? デート気分も味わえちゃって幸せじゃなーい?」
何故だか世迷い事が右耳から入ってきた気がしたが、空耳だと断定して俺はスルーする。
「ぐぅ、真顔で無感情な上に何も答えないし……アタシの何処が不満なの!?」
「胴体、頭、髪、顔、腕、脚、首、骨、臓器、血液、声、性格、思考、心、魂」
「要するに全部じゃん!?」
上から落ちてきた鉄球にでも打たれたような、キテレツな表情を楓子がするが、俺は反応する理由が無いと判断してシカトした。
「兄ちゃんさあ、女の趣味悪いんじゃない?」
「まさか。普通だ」
「じゃあどんな人が好みなの?」
「如何でもいい事だろうが」
友達でも当然嫌だし、家族である妹に語り聞かせる気など毛頭無い。
「……どんな人が好み?」
「お前まで聞くんじゃねえ……」
聞かせて聞かせて! と言わんばかりに椎茸眼を煌めかせる楓子と、無表情の中に好奇心を秘める不思議な顔をしたマリスが、両方からせがむ様近づいてくる。
「どれだけ聞こうが言う気はねえよ」
「やっぱり趣味悪いんじゃない!」
「……麟斗は悪趣味タイプ……」
「……チッ」
只管にウザくなってきた。
だがここで打撃をかませばこいつ等の言うとおりだと公言して
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