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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第七話 誓い
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ろうとする襲撃者達に向かって、デルフリンガーを突きつける。夜の闇にその声は、冷酷、非情に――――ではなく、困惑気味に響いていた。
 
「え? この声?」
「……」
「何故ここにいるんだ――」

 デルフリンガーを鞘に収めながら士郎は腕を組む。フードから覗く、呆然と見上げてくる、見知った顔を見下ろし、奇妙に迫力のある、にっこりとした笑顔を向ける。

「キュルケ、タバサ」










 満天の星空の中天に二つの月が昇る頃、林の奥に隠した馬車の近くで、士郎達は焚き火を囲んでいた。フードを脱ぎ、見慣れない動きやすい格好をしたキュルケは、未だに困惑を感じる顔で焚き火を見つめている。同じような格好をしたタバサは、抱えた足の間に額をあて、俯いている。
 
「ほら、出来たぞ」
「あ、ありがとう」
「…………」
「……ふむ」

 焚き火にくべた鍋の中身をお椀に移すと、士郎はそれをキュルケとタバサに差し出した。キュルケはおずおずと手を伸ばし受け取ったが、タバサは受け取らず、顔を上げることもなかった。その様子に一つ溜め息をつくと、タバサの横にお椀を置く。そして、焚き火を間に挟み、士郎はキュルケ達に対面するよう座る。いつまでもお椀に口を付けない二人に、士郎の横に座る者達が声をかける。

「食べないの? 美味しいわよ」
「わたしの作ったヨシェナヴェに似てますけど……とっても美味しいですよ」
「ヨシェナヴェって何だい。聞いたこともないけど?」
「知らなくてもしょうがないですよ。わたしの村に伝わるシチューですから」
「ふ〜ん。今度食べさせてもらってもいいかい?」
「ええ、喜んで」

 和気あいあいと話す三人に、声を上げたのは、キュルケではなく、もちろんタバサでもなく……。

「何和気あいあいと話してんのよっ! と言うか、何で襲撃者がキュルケとタバサなのよっ!!」
「それを今から聞こうとしているんだろう」
「何でそんなに落ち着いているのよシロウさんは!?」
「モンモランシーこそ、何でそんなに興奮しているんだ?」
「それは興奮もするわよ! 水の精霊の条件は、襲撃者の退治よ! クラスメイトを退治出来るかって!」

 うがー! と、頭を掻きむしりながら喚くモンモランシーを、落ち着かせるように頭をポンポンと叩くと、士郎は肩を竦めてみせた。

「あれは経過よりも結果を重視するタイプだ。別段退治しなくても、襲撃がなくなれば納得する。だからキュルケ達が水の精霊を襲う理由を聞き出し、それを解決すれば問題はない」
「え? そうなの?」
「それでいいの?」
「それでいいんですか?」
「いいのかい?」
「ま、大丈夫だろう」

 モンモランシーがルイズに、ルイズがシエスタに、シエスタがロングビルに顔を向
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