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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第七話 誓い
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それを倒せばいいのか?」
「そうだ。我は今、水を増やすことに手をとられ、襲撃者の対処まで出来ぬ。お前が襲撃者を退治すれば、我の一部を進呈しよう」
「……水を増やしているだと」

 淡々とした口調で条件を伝えてくる水の精霊に、士郎が時折疑問を挟みながらも冷静に交渉を続けていく。しかし、水の精霊が水を増やしていると言った途端、士郎の声が一気に冷える。

「貴様が水位を上げているのか」
「そうだ」
「……何故だ」

 士郎のデルフリンガーを握る手に力が込もり、刺すような視線を水の精霊に向ける。
 今にも斬りかかってきそうな士郎の姿に、水の精霊は欠片も動揺することなく淡々と話しを続けていく。

「……お前ならば良いか」

 水の精霊はじっと睨みつけるかの様に士郎を見つめた後、一度大きく揺らめくと語りだした。

「数えるほども愚かしいほど月と太陽が交差する時の間、我が守りし秘宝を、メイジ達が盗んだのだ。それを取り返すため、水位を上げている」
「それと、水位を上げる理由がどう関係する」

 水底に沈んだ家屋に目をやり尋ねる。 

「盗まれた秘宝まで水が侵食すれば、そのありかが分かるからだ」
「随分と気の長い話だな」
「我にとっては、時の流れなど気にかけるものではないゆえな」

 呆れたような突っ込みに、水の精霊はゆらりと身体の表面を軽く波立たせた。

「それで、盗まれた物とは、どんな物だ」
「『アンドバリ』の指輪と呼ぶ、我と共に時を過ごした指輪だ」

 『アンドバリ』の指輪と聞いたモンモランシーが、驚きの声を上げる。

「それって、『水』系統の伝説のマジックアイテムじゃない。偽りの命を死者に与えるって言う……」
「そうだ、それを風の力を行使し、眠る我に触れることなく、メイジ達は秘宝を持ち去っていった」
「何か手掛かりはないのか」
「一人ではなく数個体いたな。その内の一人が、確か『クロムウェル』と呼ばれていた」
「『クロムウェル』……か。偽りの命を与えられた者はどうなる」
「指輪を使用した者に従うことになる」
「……そうか」

 一度目を閉じた士郎は、鞘にデルフリンガーを収める。

「ならその指輪、俺が取り返そう」
「お前がか」
「そうだ。だから水位を元に戻してくれないか」

 士郎の提案に、水の精霊の表面に、波紋が規則的に現れる。急に黙り込んだ水の精霊の様子に、モンモランシーが慌てた様子で士郎の外套を引っ張った。
 
「ちょ、ちょっとシロウさん。余り勝手なこと言わない方が……折角精霊の涙を分けてくれるって言ってるんだし、余計なことを言うのも……。それに、水の精霊がそんな提案に了承するわけが――」
「いいだろう」
「いいのッ?!」

 モンモランシーが驚いた顔を勢い良
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