第3話「かんせん」
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識が朦朧としてるせいで、照準が全然定まらなくなっているからだ。
―――...思えば、この時に武器を刀に変えてれば良かったのかもしれない。
カチッ、カチッ
「弾切れ...!?」
あまりにも外しすぎて、弾切れになる。慌ててマガジンを変えようとするが、ゾンビが既に傍まで寄って来ていて...。
「しまっ....!」
....ガブッ!
咄嗟に顔を庇った腕の手首の近くを噛まれてしまった。
「くっ...!」
すぐさまソイツを振り払い、すぐ後ろにあった機械室の扉を開けて逃げ込む。
「(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい...!!!)」
ゾンビが入ってこないように扉を閉め、俺は焦る。
「(噛まれてしまった。感染してしまった。このままだと...このままだと...!!)」
よろよろと、奥の方に歩いて行く。
ふと、噛まれた腕を見れば、噛まれた所からウイルスが広がるように血管や神経が浮き出てきていた。
「く...そ....!」
風邪で意識もほとんどない。感染してしまったのだから、このまま意識を失えば間違いなくそのままゾンビと化してしまうだろう。
「それだけは...嫌だ...!」
このまま自殺すればゾンビ化は防げるだろう。だけど、俺は最後まで足掻きたい。
「...シャッター?」
奥に辿り着くと、シャッターが机につっかえて半開きになっていた。
「.....。」
風邪、感染と続けざまに意識に影響を与える状態異常を引き起こした俺は、無意識に中へと入っていく。
「はぁ....はぁ...はぁ...。」
電気をつけ、さらに奥へと歩いて行く。ゾンビの気配はない。...というか、人気そのものがない。
「なんなんだ?ここは....?」
とにかく奥に行ってみる。
「...まだ下があるのか...。」
下に降りようと足を進める。しかし、途中で足がもつれてこけてしまう。
「ぐっ...!」
意識が薄れる。....いや、まだだ...!
「こんな、所で...死ねるかよ...!!」
自らを奮い立たせ、立ち上がり、下に降り切る。
「ここは....?」
地下二階の電気を付けると、様々な棚があった。
「あ、救急箱...?」
その棚の中に、救急箱を見つける。
「...応急、処置....しなきゃ....。」
既に、俺は風邪と感染が重なり、まともな思考をしていなかった。応急処置をした所で、どうにもならないのに。
―――だけど、この判断が、俺を救ったのも間違いない。
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