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SAO−銀ノ月−
第八十六話
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らの反応を伺いながら逃げているらしく、時折牽制のような銃弾が飛んでくる。

「…………!」

 それらを避けながらなおも追いすがっていくと、曲がりくねった路地裏から一本直線の道に出る。その道の奥には灰マント――銃士Xが銃を構える姿。……どうやら待ち構えていたらしく、そのアサルトライフルをこちらに向かって乱射してくる。

 ……ただ、放たれる弾丸があの《黒星》のものではないならば、こちらも退く理由はなく。一本道に充満する弾道予測線を見切ると、それらが一切ない場所へ――壁を蹴って空中へと躍り出る。

「えっ……?」

 一瞬だけ発された疑問の声は銃士Xのものか。発射された銃弾は全て俺の足元を通過していき、さらなる追撃の前に空中からAA−12を銃士Xへと放つ。この狭い路地裏において、散弾銃というカテゴリーに属しているAA−12から逃れる術はなく、肩や腕などに避けきれなかった弾丸が銃士Xへと殺到する。

「くっ……」

 俺が着地をしている間に、銃士Xは苦悶の声を漏らしながら再び逃走を選択すると、路地裏から主街区へとその戦術を移していく。その後ろ姿にまたもやAA−12を発射するものの、路地裏から脱した銃士Xにそれは当たらない。

「スタジアム……?」

 路地裏でのチェイスを終えてたどり着いたのは、大きな雨天野球場が目立つ市街地。灰マントを被った銃士Xは、こちらに当てる気も感じられない牽制弾を撃ちながら、早々とそのスタジアムへと入っていく。そこに仲間でも隠れているのか、と端末でサテライト・スキャンを確認するものの、そのスタジアムの中には今し方入った銃士Xの姿しかなく――そこで端末の効果時間が過ぎ、次にプレイヤーの位置が表示されるのは15分後の話だ。

 ……もちろん、これから15分も待っていられる訳もなく。あのスタジアムの中に銃士X以外のプレイヤーはいない、ということだけ分かれば充分だ。俺は遠くからの狙撃に警戒しながらも、銃士Xを追ってスタジアムへと歩を進める。

 今は跡地としか例えようがないが、雨天野球場だった場所の入り口を抜けていく。先に銃士Xが通ったためか気になる瓦礫もなく、俺は神経を研ぎ澄ませながらも、確実に銃士Xが待つスタジアムへと近づいていく。

 そして入り口となっていたゲートを抜けると、昔は野球をやっていたのであろう、観客席もある広々としたスタジアムに出た。かつては人口で芝などでも植えていたのだろうが、今となっては見る影もなく、無機質などコンクリートが丸出しになっている。

 ――その中央に銃士Xは佇んでいた。

「……っ」

 もう逃げる気はないということか、スタジアムの中央からいっそ無防備なまでに動こうとしない。俺がスタジアムに入ると同時に、銃士Xの息を飲む音が聞こえるとともに、俺もA
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