暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
Down the stage
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いらないと、言われているようで。

―――って今はそれどころじゃない!

下向きに傾き始めた心を無理矢理上方修正し、少女は頭を回らせる。

まず問題なのは、言うまでもなく少年の中身の問題である。SAOであれほどの猛威を振るった《災禍》が再臨することだけは避けねばならない。

しかし、逆流現象(オーバーフロー)――――現実世界での悪影響の可能性と、何よりBoB大会中はログアウト不可能に設定されている現実が立ちはだかる。つまり、仮にこの場でユウキがフェイバル以外を全員HP全損に追い込み、自分で自分を殺して大会を無理矢理終わらせたとしても、問題の根本からの解決とはならないのだ。

ネックなのは、元凶であるフェイバルを倒したとしてもレンの中の《鎧》は消えない、ということである。

どうすれば、と頭を抱えそうになる少女に、傍らから「止まって」という鋭い指示が飛んだ。

このGGO内で数少ない顔見知りと呼べる存在の片割れであるリラは、レンを背負いながら走るユウキに追走しながら辺りをきょろきょろ見回していた。

言葉に従ってすぐさま急制動をかけたユウキは、そこでようやく足元の地面がアスファルトではなくなっていることに気が付いた。

見渡す限りの砂の世界。あるのは点々と生えるように突き立つ奇妙な形の自然岩とサボテンのような奇怪な植物のみだ。

頭の中で孤島の全体図を思い浮かべると、いつのまにか北部の砂漠地帯に入っていたらしい。

砂の轍だけが今来た道を示してくれる世界のド真ん中で立ち止まり、傍らのリラはしきりに首を巡らせていた。

「こ、ここがどうかしたの?」

ここまでついて来ておいてなんだが、ユウキはこの逃走の目的地が分かっていない。ただただ目の前の少女の後ろにくっついて半ベソ状態になっていただけだ。

しかしリラは何も返答せず、ただ口内でチッと舌打ちをした後、両手を口を包むように囲む。

「ミナァ!いるんでしょ!?出てきなさい!!」

小柄な体躯から発せられたとはにわかに信じがたい声量が迸った。

強大な敵と戦った余波なのか、思わず辺りに目を配ってしまうが、今のところ他プレイヤーが騒ぐような兆候は見当たらない。

しかし、応えはあった。

警戒するような声が、少し離れたところにある赤茶けた岩山の向こう側からひょっこりと小さな顔が姿を見せる。

両側でゆるく結われた滑らかなブロンドと、エメラルドのような碧眼は間違いなくリラのコンビのもう一人、ミナに違いない。

いつもの気弱な視線ではなく、紛れもなく狩人(ハンター)の眼光を鋭く投げかけてくる相棒に、リラは両手を軽く挙げて戦意がないことをアピールした。

「……なに?どういうことリラちゃん」

「イレギュラーよ、イレギュラー。コイツ
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