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大統領の日常
本編
第四十話 首都戦8
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治療を行っています。代理指揮官であるハイドリヒ中将は核爆発の際、左腕を骨折しましたが、今後の指揮に影響はないとのことです」
「ハイドリヒの奴死ななかったか」
ビッテンフェルトは軽く舌打ちすると呟くように小さな声で言った。
「は?何かおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもない」
頭上に?マークを付けたクネートが首をかしげながら聞くが、ビッテンフェルトは報告書を受け取りながら言った。

「まさか、自国の首都で核を起爆するとは・・・これがいわゆるベルカ式国防術というやつか・・・」

【ベルカ式国防術】
エスコンで登場するベルカ公国が、自国領に侵攻されたとき領土内で7つもの戦術核兵器を同時に起爆して侵攻軍を大混乱に陥らせたことから、戦争ゲームなどで核を使用して自国を守ることをベルカ式国防術と呼ばれるようになった。

ビッテンフェルトはエスコン自体に興味などはなかったが、副司令官であるフクヴァ・ミローネ准将が暇なときにいつもエスコンやろうと家に押しかけてきたため、仕方なくやり始めたことでドはまりしてしまい、一時期は無断欠勤することもあった。しかし、その後の演習で艦載機を巧みに使った作戦でほぼ無傷で勝利したため、実動部隊副総司令官であるアイデェアムが”それによってちゃんと結果を出しているのだから別にかまわない”とめんどくさそうに言いつつ、緊急でない限り本来の勤務時間より1時間早く終了していいという直筆の許可証を出したため、1日に2時間必ずエスコンをやっている。

「そういえば、皇帝派軍の方はどうなっている?」
ビッテンフェルトは報告書をぺらぺらとめくりつつ、思い出したように言った。
「はっ、通信を傍受しておりますが、幸い司令部は首都から離れた工業地帯に有ったようで健在です。しかし、首都に突入していた部隊の損害が激しいようで、指揮系統は乱れ混乱状態模様です」
「そうか・・・」
「ハイドリヒに、いやハイドリヒ中将に皇帝派軍に対して支援の必要はあるか問うておこう」

ビッテンフェルトがそういうと、クネートはハイドリヒを呼び捨てにした事は気にせずに、オペレーターの一人にシヴァとの通信をつなぐように言った。


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