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寄生捕喰者とツインテール
押し寄せしモノ
ダークグラスパー
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? イースナ」
「うぬぬぬぬ……」


 悔しげに唸るイースナだが、トゥアール……もといテイルレッドは涼しげな顔。

 実際はそれも表面的なもので、視線が余計な場所へ行って話を脱線させないよう、内心は結構必死だった。


「そこまで可愛くなったのならば、どの世界でも引く手数多……私の事など諦めなさい」
「むぅ……いいやっ!」


 何処からともなくイースナは、年季の入っていると見える擦り傷やくすみ後の目立つ、彼女の様に黒い携帯電話を取りだした。


「この携帯電話に登録されたアドレス……貴方は元の世界を離れた際、それを捨ててしまったのじゃな……だが、妾のアドレスはあの時と変わらぬ。如何かもう一度、交換してはくれぬか?」


 数多の世界を渡ってきて、時に世界まで滅ぼして……なのにその主な理由の一つが、たった一人と携帯電話のアドレスを交換する為だけだったと知られれば、灰色となった世界の住人はどれだけ絶望するだろうか……バカバカしさゆえに見当もつかない。

 だがそれでも思い人を追いかけ、もう一度つながりを持ちたいと言うのは本気。
 此処でパイプを作っておけば、何かしら有利になるので、裏心を持って接する事も出来る。


 幾つもの世界を超えてきた、自分を慕う少女の頼みに、仮面ツインテールであるトゥアール本人は長い長い沈黙を挟み―――――







「―――――ワタシ、イマ、ケイタイ、モッテマセン、ヨ」


 安易すぎて何も言えなくなる、幸先不安な嘯きを口にした。

 オマケにかなりの片言文句。
 不自然にも程がある。


「ケイタイを持っていない!? 何故じゃ、あれほどいつも持ち歩いておったではないか! 肌身離さず持ち歩き、幼い女児達へメールアドレスを配り写メを送るよう頼んでおったではないか!! 皆が皆トゥアールに気に入られようと必死になり躍起になり、そのアピールが段々とエスカレートした揚句―――」
「んんんんふうううぅぅぅぅうぅぅんのおおおふんぐふああああああんっふ!」


 咳払いなのか言葉にならに悲鳴なのか、怪生物の鳴き声なのか判別の付かない咳払いの果て、トゥアールは急き切った様子でまくしたて始めた。


「ほら! それはアレですアレ! エレメリアンに襲撃された子供達の心身状態が不安定にならぬよう、アフターケアをしていた為です! 頼もしいお姉ちゃんが何時でも貴女の傍に居るからね、と! 心配しないでいいからね、と!!」

「……言い訳がましい……とか、そういうレベルじゃあ、無い」
『寧ろ盛大に墓穴掘ってるヨナ。日本からブラジル近くまで届くぐらい深っけぇレベルデ』

「んんふぐおおおおふんんああああんんっふ!!」


 再び発せられる怪音声。

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