小さな拳
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体力を増加させることで」
グレイがそう呟く。シェリアはウェンディの予想外な作戦にしばらく呆けてしまう。
「なんて戦法!?すごい!!」
シェリアは感心し、頬を緩める。ウェンディはそのシェリアにジャンプして接近する。
「天竜の・・・砕牙!!」
「くっ!!」
シェリアはウェンディの攻撃を腕でガードする。ウェンディの砕牙によりシェリアの腕に傷がつくが、それもシェリアの治癒魔法によりすぐに回復する。
「すごいよ!!ウェンディ!!」
ウェンディは素早く距離を取り、体を一回転させシェリアに蹴りを放つ。
「やぁぁ!!」
「とぉぉ!!」
それに負けじとシェリアも蹴りを繰り出す。
ドガッ
2人の蹴りはぶつかり合い、会場中に風が吹き荒れる。
風が止み、空中でぶつかり合っていた2人は闘技場へと降り立ち、互いに相手を見据える。
『これはすごい展開になってきた!!両者!!一歩も引かず!!』
距離を置いていた2人は互いに一気に走りだし、相手に向かって何度も何度も風を帯びた小さな拳を打ち込んでいく。
『ぶつかり合う小さな拳!!その拳はギルドのためか!?』
「「やぁぁぁぁ!!」」
懸命にギルドの仲間たちのために小さな体を目一杯に使い、激しい戦いを繰り広げるウェンディとシェリア。その姿に思わず見ているものたちは魅了されていく。
ドンッ
シェリアとウェンディの拳がぶつかり、魔力が弾ける。
グレイとリオンはそれを見て、ただただ何も言えず立ち尽くしている。
「はぁぁぁぁ!!」
ウェンディの鉄拳をシェリアはジャンプし回避する。
「「やぁぁぁぁ!!」」
互いに風を纏い、大きく足を振るって蹴りを放つ。
「いけ!!どっちも負けんな!!」
ナツが体の前で拳を握りしめ、両者に声援を送る。そこには敵味方など関係ない。
「ウェンディ・・・」
「ウェンディ〜・・・」
セシリーとシャルルは小さいころから彼女を知っているため、仲間のために戦おうと頑張る彼女の姿に思わず込み上げてくるものを懸命に堪えている。
「すげぇ・・・」
セシリーとシャルルよりも昔からウェンディを知るシリル。彼もまた同様に、2人の熱い想いに応援することも忘れ、見入っている。
「・・・」
幼い頃からずっとシェリアと一緒にいた金髪の少年レオン。彼は無言で2人の戦いを見届ける。その表情は何も考えていないのか、無表情だった。
カンカンカンカンッ
鳴り響くコング。その音は2人の戦いの終了を意味していた。
『そして・・・ここで時間切れ!!』
大興奮の観客たち。ウェンディとシェリアは互いに力を出しきったのか、膝に手をつき、呼吸を乱している。
『試合終了!
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