cannibalism
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cannibalism
「おーいマキー! 飯できたぞー!」
黄昏色の夕焼けに照らされた公園に高校生ぐらいと思われる一人の少年が駆け足で入ってくる。
その少年の格好は公園に入るには明らかに異常だった。
両腕には漆黒のガントレットをはめており、腰にはドイツのヘッケラー&コッホ社が開発したMP7を装備している。身長は180cmぐらいでルックスは上の下ぐらい、おそらく10人中8人がイケメンと言うだろうその少年は、腰に付けた銃を隠そうともせず、堂々とした足取りで公園の隅にある草むらへと歩いて行く。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
少年の声に公園の隅の草むらにうずくまっている花柄の入ったワンピースを着た少女が小さく声をあげた。少女の目と髪の色は黄緑色で、明らかに普通の人間の目と髪の色ではなかった。
そんな少女の可愛らしい大きなタレ目には真剣そうな光が覗いている、どうやら何かを観察しているようだ。
さらにこのマキと呼ばれた少女、武装した少年が近づいても顔色一つ変えない。それどころか近づいてきた少年の手をギュッと握った。どうやら相当この少年に懐いているらしい。
「ん? お前いったいなに見て――――」
怪訝そうな表情をしながら黄緑色の髪をした少女に近づいた少年の表情が固まる。
少年と少女の視線の先には2匹のカマキリがいた。
ハラビロカマキリだと思われる2匹のカマキリは、お互いを思いやるようにして抱き合っているように見えた。しかし少年は二匹の動きが明らかにおかしいことに気づきウッと息を詰まらせる。
大きい方が小さい方を食っていた。
二匹のハラビロカマキリのうち、一回りか二回りほど大きい方は一方的にせわしなく口を動かし、まるで深いキスをするように小さい方の腹に口を当てていた。対する小さい方のカマキリの腹は半分ほどすでになく、足が不自然に痙攣していた。あの様子だとどうやらまだ息があるのだろう。
「な、何でこんなもんじっと見てんだよ、気持ち悪いだろ……」
呆れたような表情をしながら少年は『共食い』から目をそらし、呟く。その呟きに少女は『共食い』から目を話さず、答える。
「き、気持ち悪くなんかないです! これは二人のカマキリが愛を確かめあってるんです!!」
「お、おう……」
少女の言葉に少年は戸惑いを隠せない声を出して頷いた。確かカマキリにはメスが産卵する時にオスを食べるっていう習性があった気がする。見方によっては愛を確かめ合ってるとも見えなくもない……。
「私と達也さんもこうやって愛を育めればいいのに……」
少女がポッと頬を染めて言った。
「うっ……お前がそ
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