cannibalism
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ら言う。
「むぅ……心がこもってないです」
それが不満だったのかプクッと小さな頬をふくらませ、睨んでくる。怒った時の彼女の癖なのだが、やっぱり全然怖くない。
「ほら、早く行くぞ! 最初は何をしたいんだ?」
「リンゴ飴が食べてみたいです!」
「おう! リンゴ飴……リンゴ飴っと……」
公園に入った俺とマキはキョロキョロと辺りを見渡しリンゴ飴の売ってある屋台を探す。
「キャッ!?」
「うおっ!?」
屋台を探すのに夢中だったため前方から歩いてきた少女にぶつかってしまう。長い茶色の髪を後ろで結った少女と目が合った。
「すいません!」
「あ、……こ、こちらこそすいません」
マキとは比べ物にならないぐらい凹凸した少女体に思わず見入ってしまう。少女は乱れた紫色の浴衣を両手で直すとそそくさと去っていった。
「ジー……」
「な、なんだ……?」
冷めた目でマキがこちらを見ていたことに気づき、戸惑いを顔に出さないように努力しながら質問する。
「別にぃ〜、どうせ私はお子様ですよぉ〜だ」
「あ、ちょっ――――」
スタスタとリンゴ飴の屋台の方へ歩いて行くマキを慌てて俺は追う。……どうやら拗ねてしまったらしい。
「み、見惚れてなんかないからな! だから機嫌直せよな!」
買ったリンゴ飴をペロペロ舐めながらてくてくと歩くマキを追いかけながら必死になだめる。
「わかりました、ではこちらに顔を近づけてください」
「んぁ? あ、あぁわかった!」
反抗してこれ以上機嫌が悪くなったらたまらない。俺は急いで彼女が差し出したリンゴ飴に顔を近づけていく。
「んっ――――――――!?」
突然柔らかいものが唇に押し付けられる。それが彼女の唇だと気づくのに数秒かかった。その間にリンゴ飴の優しい甘さがマキから俺へと移っていき、口の中を支配していく。
「ぷはぁっ――」
「――なななな、何やってんだ!」
永遠とも思えるぐらい長い時間そうしていた気がする。息継ぎをするためかマキの舌と腕の拘束が少し緩んだ隙を見逃さず、物凄い勢いでバックダッシュしながら俺は口元を隠して叫んだ。
「ふふふ、達也さんったら可愛い♪」
「くっ……」
俺を見て破顔一笑した彼女を月光が魅惑的に照らす。
「あっ……、ちょっ――まてって!」
嬉しそうにスキップしながら逃げていくマキを俺は急いで追いかけた。
? ? ?
「ギシャアアアアアアアア!!」
「くっ……!」
クモ型のガストレアの吐き出す糸を、達也は横へ飛び込みながら避ける。
「くらえッ
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