料理
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る事になった。ひとまず中に巻く具をどうするかな……キュウリだけでも成立はするけど、具が一つだけだとディアーチェは納得しないだろう。それならキュウリに加えてニンジン、キャベツ、カニカマ、卵で一般的なサラダ巻きにしよう。バリエーションを増やすためにツナとか入れても良いんだけど、今は“ちゃんと作る”事を覚える所から始めるべきだと思う。
作り方を一通り教えた後、初めてという事もあって手慣れない感じで料理を始めるディアーチェを微笑ましく見守りながら、一方でサバタさんが何を作っているのか、チラッと目を向けてみる。
「光るキノコ……? ってこれ、オロシャヒカリダケじゃないか! 何でこんな物があるんだ……」
「普通に考えれば食材としてでしょうけど……食べて大丈夫なものなんですか?」
『平気なんじゃない? 一応ここに置いてある訳だし、多分誰かが一度は食べた事があるんだと思うよ。だから少なくとも毒キノコじゃないはずだけど、実際に食べるのは遠慮したいや』
「本気でコレを食べようと思った人の顔が見てみたいです……もしかしてバッテリーが回復する〜、なんて考えて食べてたりするんじゃ?」
「まっさか〜! 流石のボクもそこまで単純には考えないって! あはは!」
……なんか皆して笑ってるけど、妙に汗が出ている気がする。深く考えてはいけないものでも見たのかもしれない。何はともあれ、あっちはあっちで大丈夫そうだね。
視線を戻して小さな王様の様子を見ると、海苔の上に白米を敷いて具を置き、これから巻こうとしている所だった。せっせと私がさっき教えた通りに巻いていき、ひとまず無事に海苔巻きを完成させた彼女だったが……隣の皿にある私が作った綺麗な丸い形状の海苔巻きと見比べて、自分のふにゃっと崩れた海苔巻きに納得がいかなそうな顔をしていた。そりゃあ11年間自炊してきた身として、海苔巻きを綺麗に丸く作るコツぐらい知ってるけど……初心者のディアーチェが巻く途中で海苔を破ったりしなかっただけでも、十分上手だと思ってる。王様だけど、将来有望な料理人の卵だね。
一方でサバタさんの方も一通り調理が終わったため、私達のも持って行って早速成果を見せあった。ディアーチェの海苔巻きは初心者が作ったにしてははるかに上手なため、食べてくれたサバタさんやシュテル達も称賛してくれた。一斉に褒められた事でついそっぽを向いたディアーチェだけど、照れて顔が赤くなっている。やっぱりこの王様、なんか可愛いな。あ、私のは昼食の時にいただくから、今は置いてある。
ただ……言及すべきものが目の前に君臨している事に、いい加減目を背け続ける訳にはいかなかった。サバタさんが作った料理……新しい携帯食料にもなる事を想定して作ったはずのソレは、さっきから私達の警戒心をとにかく刺激していた。だってさ……
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