第十四話:事件勃発
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は、それでいい」
マリスは何処か満足そうな顔で、少しだけ無表情を緩めて答えた。
明らかに予測通りの答えを受け、嬉しそうにしている。俺はそう思った。
その “勘違い” している彼女を見やり、俺は更なる言葉をつきつける。
「今後の為に、頑張らないとな」
「……ん」
この言葉を聞き、普通は疑問に思うだろう。
妹の為に動いているんだろう? なら何が勘違いなのか? と。
……だが、“それ” は余りに俺という生き物を知らな過ぎる、そんな答えだと言わざるを得ない。
妹が不憫? ハ、下らない。
正直アイツがどうなろうと『知った事じゃない』。
結婚できなくなろうが、イジメにあって世を儚もうが、それでバカが治るなら万々歳だ。
治らないなら一生距離を置かれたままで居ればいい。
それ自体『俺』には何の関係もない話だからな
“普通” の妹であれば、俺も心を痛めたかもしれないが、コイツに対してそんな思いを抱く気は無い。
俺の言葉から声色から、“隠している事” が分からず取り繕っている物ではないと “素直” に思ったか、柔らかい無表情という何処か矛盾した顔をするマリス。
普段の彼女を知る者なら、笑顔と錯覚しそうな雰囲気を湛えている。
「……楓子の為、頑張ろう」
「アイツの為だけじゃない。他の人間の為でもある」
「……それも、また正しい」
後半は本心だが、前半は自分でも心にもない言葉だと、自嘲し苦笑しそうになるのをこらえた。
先程、楓子がどうなろうと知った事ではないと、俺は言った……だがこの状況だと話は別だ。
なにせ、楓子に向けられた奇異の目が、俺に向かない理由は何処にもない。
寧ろ何か隠していると、楓子以上にあげつらう輩も出るだろうな。
だから俺は行動する、それが当たり前だ。
例えぶん殴っても治らない楓子の為に命張る理由が何処にある?
自分の人生を無茶苦茶にさせないため、俺は少なからず努力すると言ったんだ。
不義理と罵られようが知った事では無い。
妹の人生がこの神社の存続にかかわるかと言えばそうでもなく、兄だからと言ってそこまでしてやる義理など無い。
謗る奴は恐らく、楓子の決して省みない反省の無さ、現実と二次元の混同具合、それを知らない者だ。
「兄ちゃんかっこいいよ!遂に主人公と成る決心がついたんだね!」
「主人公じゃねえ」
此方の会話だけで、ある程度推測した楓子が、耳にうるさい拍手を送ってきた。
百年の恋も冷める性格をしているくせに、モテモテで囃し立てられ調子
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