第十四話:事件勃発
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……麟斗、彼女達は人知の外にいる者。警察では―――」
「それぐらい分かってる。俺が言っているのはそこじゃない……メープルは楓子と瓜二つ。だから何が起こるかは分かるな?」
「……わかる」
あのバカがよりにもよって『ぶっちゃけアタシそっくり』等と書き記したがために、メープルはもう双子を超すレベルで楓子“そっくり”なのだ。
そして警察では無理な以上、止められる者が現時点ではマリスしかおらず、しかしマリスは最弱な所為で実質立ち向かえる者は居ないも同じ。
だから天使モドキはこれからも大胆な犯行を繰り返すだろう。もしかしたら、金品強奪騒ぎすら、起こしかねない可能性がある。
このご時世、携帯のカメラも発達しているので、どれだけ逃げ続けても何れ顔が全国にさらされてしまうのだ。
そう…………他ならぬ『犯罪者』としての、楓子の顔が。
「テラウラヤマシステラウラヤマシステラウラヤマシス―――」
アホずら下げたまま依然として同じ言葉をつぶやき続ける楓子は、この事態の危険性をまるで分かっていない。
こんな時に言うのもなんだろうが……やっぱり馬鹿だなアイツ。
「……麟斗」
呼びかけられた声に顔を向ければ、寝たままのマリスと目が合い彼女は頷く。数秒間を置いてから、覚悟を決めろと再び首を縦に振る。
共にメープルを捕まえようと、俺に促してくる。
マリスの言わんとしている事は分かった。《婚約者》たる可能性の方に掛け、ともに行動することを認め、闘おうと言うのだろう。
……ハ、冗談じゃない。
俺にだって生活がある、俺にだって日常がある、俺にだって進む道がある。何でこんな馬鹿に付き合わされなけりゃならない?
「……」
だが、メープルの顔を全国に報道されない為には、止めるしかない。
先も言ったが、いずれ顔が知られるのは必定。そうなるとやり玉に挙げられるのは、体型以外は鏡写しなウチの妹・楓子だ。
勿論、超常的な力の有無は言わずもがな、纏う雰囲気や体形からも、すぐに疑い自体は晴れるだろう。
しかし晒しモノと成る事に変わりは無い。そして奇異の目で見る者達も暫くは減らない。
結果日常的に、後ろ指を刺されて暮らす事となる。
無関係で流されるのはまず有り得ない、奇妙な噂も立つだろう。学校でだって無感傷ではいられまい。
最悪の場合、半分ほどは自身が原因であるものの、それでももう半分は謂れ無い非難を受ける事請け合いだ。
「……麟斗。覚悟を、決める時」
「……」
だから俺は、マリスの方を向き、真剣な表情で言った。
「そうだな。努力ぐらいはしよう」
「……そう。今
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