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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十三話:休息の一時
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しは楽になったらしいマリスが、上半身だけ起こして俺の肩をつついてくる。


「どうした」
「……麟斗は勉強、好き?」
「まさか。やらなければいけないからやる、放っておくと痛い目を見るからやる、それだけだ」
「……合理的な考え方だと思う……だからとても、頼もしい」


 自分の考えが理解を得ただけならば俺も多少は喜んだが、しかしその後に付け加えられた繋がりの見えない単語に、俺は目を細めて睨むようにマリスを見やる。

 どうしても、何か裏があるように思えてならない。


「何がだ?」
「……資質とは関係が無いけれど、《婚約者(パートナー)》にするのならば無鉄砲ではなく、より賢明で聡明な者の方が理想的。戦闘の外や死角から的確に指示を送り、状況を見極められる者が」
「……」
「……そして何より麟斗は、現状を見据えて試練を良しとする、忍耐力がある。その精神を踏まえても、これから共に戦っていきたいと私は思う」


 俺はその発言に―――無言で片眉をひそめ、鼻で笑った。


「ハ……本音を言えマリス。お前は何でも良いからこじ付け、俺をおだてて、戦いに参加させようとしているだけだろうが」
「……ばれた」


 悪びれもせずに淡々と言うマリス……可愛くも無く、ただムカつく。

 そもそも今の俺の立場は『反応こそ無いが可能性がある』だけであって、『絶対に《婚約者》となれる』訳では無く、しかもマリス自身でさえ別の概念とやらが混ざっている為『何が起こるか分からない』。
 なのに、こんなのんべんだらりと現状維持するのは、ハッキリ言って “意味が無い” としか言いようがない。
 せめて午後からは現在能力がどうなっているか試す為に、マリスはうどんを食べる量を減らすべきだったのだ。

 《婚約者》である可能性と言う、道が繋がっているかも分からない不安定なものにすがる前に、少しでも勝率を上げるべく己で鍛錬を積む事を、この殺戮の天使は何故しないのか。
 俺には理由がさっぱり分からない。
 どう考えても理解不能だな。


「はぁ……」
「何かやってないかなぁーっと」
「……」


 俺は頭痛を堪えながら再び楓子のノートを手に取り、マリスはもう一度畳に寝っ転がり、楓子は暇になったのかテレビを付ける。
 よく見るとマリスはまだ苦しそうで、先のやり取りで体力を使いきったかのようにグッタリしており、つまり余程俺に戦わせたいのだと窺えた。

 ……お袋といい楓子といい、そしてマリスといい、そんなに俺を死地に送り込んで、いったい何が楽しいのか。

 暫くワイドショーにて今季の経済状況について議論を交わしている、芸能人や専門家の声をBGMとして、やっぱり頭に入っていかない意味不明な単語の羅列、異常な設定の数々を、
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