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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十三話:休息の一時
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味が分からない単語に、俺は眉をしかめて言葉をそのままオウム返しする。


「知らないのならば教えてしんぜよう!」
「黙れ」
「ひどっ!? まあいいや勝手に語るね……オホン、クーデレとは! 普段は無表情はおろか、表情あっても無愛想なクールービューティーが、フラグが立ち進展してデレたら笑顔を見せてくれる女の子の事を言うのだぁっ!」
「…………」


 それ以上は聞く気は無いと言う意思を示したのに、楓子はまだ喋り足りないか続きを語り始めた。


「これって一般常識なんだよ兄ちゃん。普段は温和な感情が凍りついた様な彼女が、ふとした瞬間に見せてくれる華の咲くが如き温かな笑顔! このワビサビが分からないなら、お兄ちゃんは日本人じゃないと思う」
「面倒臭い女だってのは分かった」
「念を押したのに普通に返ってきたぁ!?」


 そんなどこぞのゲームの特殊ボスの様な、条件付きの笑顔など本当に面倒くさくて仕方が無い。

 あとな楓子。
 お前の言う常識と、世間の常識は違うってのは丸分かりだし、お前なんかに幾ら日本人認定されなかろうが、俺は至極どうでもいい。

 ……なんか、笑顔の話題が出た所為で、一辺こいつが笑ったらどうなるのか気になってきた。


「マリス、笑顔を作れるか?」
「……こう?」


 寝転がったままにマリス具無理やり作った笑顔は……一言で言い現わすなら『鬼瓦』だった。
しかも某 “トゥース!” の人の持ちネタでは無く、和風の屋根に見るマジモノの方。

 ―――要するに全く可愛く無い。
 ぶっちゃけてある意味怖い。


「……疲れた、やめる」


 反応が無い事をどう受け止めたかは知らないが、顔面の筋肉を強引に使った表情だったからか、ものの十数秒で元の無表情へと戻った。
 どっちかと言えばこっちがいいと、俺は思う。
 同時に笑顔が期待できないのも分かったな……別に見せて欲しくもないが。


(……に、しても……)


 何故だろうか―――こうやってマリスと話しているのは、俺にとっては新たな刺激として受け入れられ、楽しくは無いが目新しいと言う感想を抱ける。
 殺戮だの戦闘だのは勿論お断りだし、コイツにここにずっとい続けられるのは本意ではない。
 が、変わらない怒りだけ抱いて生きるよりは、どちらにも転ぶ新たな発見があった方が良いだろう。

 その点では、コイツに感謝すべきかもしれないな。


「ねぇマリスたん、やっぱり苦しい?」
「……少しは楽になった。けど……うん、苦しい」
「そっかー……グヘッ、なら脱いでみようかグヘグヘグヘ、いっその事スカートももベルトも取っ払っちゃえよう、グヘヘヘグエッ!」


 阿呆な事を言いだした楓子の、額めがけて無言で手
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