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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
もしも 〜 其処に有る危機(5)
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の立場を守ろうとされたのか」
シュタインホフ元帥が窺うように私とミュッケンベルガー元帥を見ている。以前からシュタインホフ元帥は陛下とヴァレンシュタインの関係を気にしていた。帝国の政治、軍事に影響を及ぼし始めたと見たか……。
「分からぬな。だが結果は悪くなかった。陛下があの式辞をお褒めになった事で帝国が疲弊しているという事が事実となったのだ。リヒテンラーデ侯はこれを機に国政の改革に手を付けるつもりだ。軍も協力せよと言われた。もっとも国政改革は簡単では有るまいが……」
シュタインホフ元帥、ミュッケンベルガー元帥が頷いた。
「軍も協力せよか。軍事費の削減だな」
ミュッケンベルガー元帥が私を見ている。予算は軍務省の受け持ちだ、心配している様だ。
「出征が無ければそれほど痛くは無い筈だ」
「つまり攻勢から守勢への転換だな。ローエングラム伯もむやみに出征したいとは言い辛かろう。それも悪くない」
ミュッケンベルガー元帥の言葉に私もシュタインホフ元帥も頷いた。武勲を立てられなければ簒奪を恐れる事も無い。それに捕虜も戻って来るのだ、軍の編成は無理をせずに行えるだろう。新たに徴兵を行う事も無い。
常に誠実であれか……。悪くない言葉だ。あの式辞は後世まで残るかもしれない。だがヴァレンシュタインは何に対して誠実なのだろう。野心が無いのは分かるのだが……。
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