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古城の狼
7部分:第七章
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えるのは何も男だけではありません」
「そうなのですか」
 知っていたがそれを聞きたかったのだ。もしかしたらここから僕の知らない話が聞けるかも知れないと思ったからである。いささか意地が悪いと自分でも思うが。
「女も変身出来るのです。しかも」
「しかも!?」
 僕はまた尋ねた。
「その力は男のそれよりも大きいと言われております」
「・・・・・・・・・」
 それを聞いて僕は絶句した。それは知らなかったからだ。
「男の人狼は力が強いのですが女のそれは魔力が強いのです。これは魔女が人狼になることの影響だとも言われておりますが」
 魔女の中には変化の術を身に着けている者も多かったという。そして異形の者と交わり恐るべきものを産むことがあったという。
「特に目にその力を持っていると言われております。その目を見た者を意のままに操ったり睨んだ屍を自身の操り人形にしてしまったり」
「かなり強大な魔力の持ち主のようですね」
「はい。その為古は教会もかなり苦しめられた聞いております」
 かって教会は魔女狩りと称して多くの無実の人々を虐殺していた。これは教会の権力欲、台頭してきた新教に対する焦りや自らの勢力の衰えに対する焦り、物欲、そして無知と偏見によるものであった。だがそのおぞましい宴の陰で闇の者達と戦う者達もいたという。
 神父は語った。
「多くの犠牲が出ました。そして教会はようやくあの闇の者達を人の世から追い出すことに成功したのです」
「多くの犠牲ですか」
「はい。それでも彼等は森の中に潜み続けました」
 彼は森の方を見て言った。
「シューベルトやワーグナー、ウェーバーの音楽をお聞きになられたことはあると思いますが」
「はい」
 僕は彼等の音楽は好きである。学生の頃からよく聞いている。

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