月下に咲く薔薇 6.
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もなかった。
「さっき、俺が盗み聞きしていた時と、随分ニュアンスが違うじゃねぇか。あんたは、自分で思っている程仲間に上手く隠し事はできないタイプだ。そこまで頑なになると、こっちもかえって燃えてくるってもんだ。悪いな」
「…いいだろう」溜息混じりに、ロジャーは短く返答した。「だが、我々も今の状況下で彼女の超感覚にそれ程の精度はない事を承知している。前置きとして、そこは理解しておいてもらいたい」
「了解だ、ネゴシエイター」
「今ティファは、我々に待ちぼうけを食らわせたシンフォニーの実態について、独自に探りを入れようとしている。限定的な力しか発揮できないとしても、我々ZEXISの一員として力になりたい、と。そう考えての申し出だ。その彼女が今朝、バレンタイン企画の打ち合わせが何者かによって覗き見される、と感じたのだそうだ。しかも、とても不快なイメージの中で」
「覗き?」
ロジャーの話を聞いた直後、クロウは第4会議室の一面を占める窓の事を思い出した。
おそらくは三大国家総出で監視の目を光らせているであろうこのバトルキャンプで、構造上嫌が上にも視線を集めてしまうのが窓のある部屋だ。第4会議室に着目されても致し方ない。
何しろ、今朝確かにZEXISメンバーの出入りはあったのだから。
「そういう事か…」
「ただ、彼女自身も単に監視の視線を膨張して受け止めた可能性はあると漏らしている。しかし、その感知をした時、彼女はとても怯えていた。白い指先が細かく震えているところを、ガロードが宥めようやく落ち着いた程だ。…あそこまで顕著な反応は珍しい。私は、そこが気になっている」
一連の話は嘘ではなかろう。ロジャーの話を、クロウはそう受け止める事にした。
しかも、ティファの不安はこれから現実になってしまうかもしれない。数十分後、企画の関係者が揃って市街地まで買い物に行くときている。
ZEXISを脅威と捉える監視の目が、もしバトルキャンプから機体を降りたパイロット達がぞろぞろと外出する予定を掴んだとして。何もせず、門を通って帰る事を許すだろうか。
「増やすっきゃないな、警護役を。それも早急に」
「無論だ」ネゴシエイターも、その点を強調した。「だから、手は既に打ってある」
「…お見事」
ロジャーのフットワークの良さに、クロウは思わず舌を巻く。
「ミス・スメラギと交渉し、ソレスタルビーイングのガンダムマイスター全員の協力を得る事になった。食料品売り場にあからさまな武闘派の登場では、不測の事態が発生した時こちらが悪役にされかねない。ZEXISの立場は微妙だ。年齢、体格は、行く先を考慮すれば自ずと限定される」
「じやあ、ティエリアも…」
最近最も沈んでいるガンダムマイスターの名を、クロウは確認の意味を込め口にした。
「彼のようなタイプは、気晴
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