4部分:第四章
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をするのは失礼だと思ったからだ。
「待って下さい、これから予定はありますか?」
奥方が尋ねてきた。
「いえ、特に」
僕は答えた。
「気ままな一人旅ですから。まあ暫くはあの森を見ていたいと思っていますが」
そう言って黒の森のほうを指差した。
「そうですか」
彼女はそれを聞いて微笑んだ。
「それでしたら暫くこの城を宿とされては如何ですか?」
「しかしそれは・・・・・・」
僕はその申し出を断ろうとした。やはり図々しいと思ったからだ。
「いえ、よろしいのです」
彼女は微笑んで答えた。
「お客様がおられたほうが何かと賑やかですし。それに」
彼女は言葉を続けた。
「日本からのお客様なんて珍しいですから」
「あっ、ご存知でしたか」
僕は彼女が日本という言葉を口にしたのに反応した。
「ええ。城に帰って来た時に主人から」
「そうですか、ご主人から」
僕はそう言うと主人の方を見た。彼はニコリと微笑んだ。
「それでしたら」
引き止めてもらえるのを無碍に断るのも失礼だと思った。
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