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古城の狼
3部分:第三章
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彼は笑顔で答えた。やはり何処か生気の無い笑顔であった。まるで人形のようだと感じた。
「我が家は代々狩りが好きでしてな。私も若い頃より狩りを嗜んでおります」
「それは」
 だが雉を見て少し不思議に思った。これには銃創は無かった。犬と思われる牙の跡はあるというのに。
「私も好きですが妻はもっと好きですね」
 この時彼は初めて自分の細君について語った。
「奥方がおられるのですか」
 僕は問うた。
「ええ、今日はおりませんが」
 彼は答えた。
「明日には帰ってきますよ」
「そうですか」
 僕はその言葉に納得し頷いた。
 パン、そしてデザートを食べた。デザートはチーズケーキだった。
 料理と酒を堪能した僕は部屋に戻った。暫くして執事に風呂を勧められそこで旅の汚れを落とし再び部屋に帰った。
「いい城だな、下手なホテルよりサービスがいい」
 僕はベッドに横たわりそう呟いた。
「ただ何か変だな」
 家の人達やワイン、蝋燭のことを思い出した。
「それにあの雉の肉」
 先程の料理のことも思い出した。

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