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101番目の舶ィ語
第十一話。散花
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》』の打撃エネルギーを受け止めたが……全てを受け止めることはできずに。
あまりに強い衝撃を身体で受けてしまった俺はまるで大型トラックに轢かれたかのように、吹き飛ばされてしまった。

(ぐはっ……体が痛てぇ……)


全身に走る痛み。ポタポタと流れていた血は激しさを増し、ドバァー、と吹き出した。
それでも痛む体に鞭を打って無理矢理立ち上がろうとしたが。
身体は動かない。
ああ、ヤバイ。
これは長くは持たない。
死んでないのが奇跡と思えるくらい、俺の全身は傷ついていた。
このまま戦っても勝てない。
無駄死にだ。そんなことは解ってる。
賢い奴なら降参していかに自分が不利にならないか、といった交渉をするところだろう。
続けても負ける。
だけどそれがどうした?
勝ち目がない戦いに挑むのはそんなこと、いつものことだ!
俺は(エネイブル)
『不可能を可能にする男』だ!
こんなところで負けてたまるかよ!
そう思うのに、俺の身体は動かない。
このままじゃ負けるのに。
このままじゃ一之江が庇ってくれたことも無駄になるのに。
解ってるのに。立ち上がりたいのに。
なのに俺の体は一切の力が入らなかった。

「すっかり観念したか。じゃあ……」

氷澄が片手を上げた、その瞬間。






『茨姫の檻(スリーピングビューティー)』??」

鋭い声と共に、氷澄に向けて大量の茨の蔦が放たれた。

「っ、増援か!」

『妖精庭園(フェアリーガーデン)』!」

聞こえてきた鳴央ちゃんの声と同時に。


俺はさっきも訪れた、妖精の花園に立っていた。
辺りを見回したが、氷澄やライン、キンゾーの姿はない。
鳴央ちゃんが俺と一之江をこの場所に隔離してくれたようだ。

「一之江さん!」

音央が俺の前に倒れている一之江に駆け寄る。ラインの攻撃が直撃した一之江。一体どれくらい酷い怪我をしたのか検討もつかない。
俺にできるのはその姿を見ないように、上を向くことだけだ。

「モンジさん、無事でしたかっ。きゃあ、酷い怪我! 早く手当しないと!」

音央ちゃんは俺の姿を見て悲鳴を上げた。
俺や一之江の側に駆け寄ってきた2人は、慌てて飛び出してきたようで髪形がちょっと乱れていた。

「いや、いい。これ以上治すな(・・・)

ベルセ気味のレガルメンテでもある俺は普段よりも少し荒い口調で鳴央ちゃんに告げる。

「……モンジさん……?」

強めに言った俺に驚いたのか、鳴央ちゃんは俺の顔を覗き込んだ。

「ごめんよ……助けに来てくれてありがとう。だけど治療は今はいい」

格好付けて言ってるわけではない。
今の俺の体はボロボロだ。それこそあのまま戦い続けていれば死
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