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101番目の舶ィ語
第十話。対決の刻
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らいにはな」

「いるはずが……ない?」

「うむ、つまりお主が見たわらわとキンゾーは幻______氷澄の使う『幻の邪眼(ファントムアイズ)』によって、幻惑を見せられたということじゃよ」

「だが、お前はこう思ったはずだ。『ラインとジーサードは目の前にいる』と」

「そう、わらわとキンゾーは『ターボ婆さん』と『首なしライダー』のロアじゃからな。
『そこにいる』と思わせれば、現れることができるのじゃよ!
ほれ、そこに……キンゾーがいるぞ!」

ラインが指差した方へ視線を向けると。
そこには無傷でバイクに跨ったキンゾーがいた。

「ったく、何やってんだよ、兄貴?
幻になんかに惑わされやがって……だらしねえなァ」

その姿を見た瞬間。俺はハッキリと解った。
違う。今まで見えていたキンゾーとは雰囲気がまるで違う。
例えるならばそう。
カナではない兄さんや『静かなる鬼(オルゴ)』と呼ばれていた父さんのような、圧倒的な存在感がある。そこにいるだけで周囲を圧倒するような、そんな威圧感を放っている。

「本当に……キンゾー、か?」

「その呼び方やめろって言ったろ!
ったく、兄貴といい、ラインといい変な呼び方しやがって」

心底嫌そうに言うキンゾー。
キンゾー呼びは嫌なんだな。

「そりゃ、悪かったなキンゾー。
で、やっぱりお前の目的はサラ博士を生き還らすことなのかキンゾー?」

「キンゾーはキンゾーじゃろ? 他の呼び方なぞ、わらわは認めん」

「てめェら……!」

などとキレたキンゾーだったが、すぐに目的を思い出したのか会話を続けた。

「幻の俺も言っていたと思うが、俺は『死者の書(ル・ヌ・ペレト・エム・ヘル)』のロアの力を得るまで誰にも負ける気はねえからよ!
だから……悪いな兄貴。
ここで散ってくれよ」

ジーサードは言うやいなや、俺の方にバイクを走らせてきた。
幻惑ではない本物のRランク武偵。
それも血の繋がった弟に『物語』を狙われるとは。
ジーサードの力は以前戦った時よりも格段に増している。
まだ拳を交わしてないが解る。
雰囲気で。
俺のように数多くの修羅場くぐり抜けてきたのだろう。
一つ一つの動作がより洗練されている。
ただでさえ強かったジーサードはその腕前をさらに上げたのが解る。
そして『ロア』としても覚醒している。
だが……何故キンゾーが『首なしライダー』のロアなんだ?

そもそも『首なしライダー』の都市伝説とはどういったものだったか。
確か、とある道路を横断するようにピアノ線が張ってあり、そこに猛スピードのバイクで突っ込んだライダーは首をはねられてしまった。しかし、首のないライダーを乗せたままバイクはしばらく走り続けた。それからというもの
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