第十話。対決の刻
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ら兄貴とはタイマンをやりたかったんだけどな。
仕方ねえ……おい、兄貴。命までは取らないから安心しろよ」
「ふざけんな! 何でお前らと闘らなきゃならないんだ!」
「……馬鹿だな兄貴は。そんなの決まってんだろ。俺には俺の、氷澄には氷澄の戦う理由があるからだ」
理由?
「何だよ、その理由って……」
「氷澄の理由は言えねが……というより詳しくは知らねえが、俺はあるロアを追ってる。そのロアの力が俺には必要だからな。
だがその為にはより強いロアの力が必要だ。
だから俺は『物語』を集めてやる。
最高の物語を集めて望みを叶えてやる!」
「何だよ、その望みって?」
「あー……そりゃあ、言えねなァ」
顎を指で掻きながら片眉を上げたジーサードは、答えない。
「じゃあ質問を変えてやる。
お前はそのロアの力を使って、何をするつもりだ。まさかと思うが死人を生き還らす……なんて言わないよな?」
俺に問われたジーサードは目つきをシリアスなものに変えた。
「______知ってて聞いてくるのはマナー違反だぜ!」
(……)
しばらく黙って回答を促しても、何も言わない。
ジーサードの目に、深い哀しみを感じる。
(……ああ、そうか。ジーサードは……)
ベルセ気味のレガルメンテの頭だったせいか……解った。
解って、しまった。
ジーサードは、死者蘇生をしようとしている。
ジーサードがかつて愛した女性を。
「______生き還らせようとしてんだな。サラ博士を……!」
俺のその言葉に______ジーサードは。
「ああ、そうだ。生き還れるんだ! ロアの力があればな!」
あまり触れられたくないからか、低い声で答える。
「まだそんなこと考えてたのか……」
「諦めるかよ! やっと見つけたんだ。サラを生き還らせる方法を!
『死者の書』……そのロアの力があれば生き還るんだ、サラが!」
「おい馬鹿よせ、そんな事は。死人を生き還らせるなんて自然に逆らう行為だぞ」
『人喰い村』で自身がやらかした事を棚に上げつつ、ジーサードの説得を試みたが……。
「ハッ、知るかよ。俺は神にだって逆らってやる!」
ジーサードは恐れるものなど何もないという強気な姿勢を崩さなかった。
まぁ、解ってたけどさ。
相模湾上空で戦ったあの時も同じこと言ってたし。
だが、キンゾーよ。
その後、女神こと、緋緋神様が乗り移った『闘戦勝仏』・孫悟空に胸貫かれてなかったか?
レーザービームで……。
キリスト教徒なら嘘でも神に逆らうとか言うのは辞めた方がいいぞ。
でないとまた、撃たれるぞ。
今度はBC兵器とかで。
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