第3章 リーザス陥落
第55話 レッドの町の鬼門
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瞬く間に屍の山となってしまいます。同じ軍ですし、その様な光景は僕も見た事があります。……よもや、敵として彼を認識する日が来るとは思いませんでしたが」
「……はは。そいつは楽しみだ。だが、あの男も恐らくは全力で戦えない」
「……そ、それは、なぜですか?」
ユーリの言葉にハウレーンが聞いた。
ユーリの自信にも驚かされる物があったが、それよりも なぜ会ってもいない、立ち会ってもいないのに、彼の事が、その事が判るのかと。
ユーリはその言葉を聞くと軽く笑う。
「君らだよ、その根拠は。……あの戦いの時のバレス将軍、エクス将軍、ハウレーンと今の君らとはまるで、比べ物にならない。想いの篭ってない、信念の篭ってない剣には負けないさ。……全力で戦えないだろうと言う意味では残念だが、な」
「……」
その言葉に3人は言葉を失ったが、なぜか納得が出来た。あの時の事を申し訳なく思うと同時に、今の信念の事を言ってくれているのに感謝をしているのだった。
「ユーリ殿、何かあれば必ず助けに参ります」
「ああ、期待してるよ。……だが、オレ達は負けないさ。ここは任せた」
ユーリの言葉で、エクスとバレスは静かに頷いた。だが、ハウレーンだけは、まだ顔を俯かせていた。……心配事があるからだ。
そう、彼らの言う男とは、リーザス最強の赤い軍将軍リック・アディスンの事。
……だけど、いなかったのは彼だけじゃない。自身の友もいなかったのだから。
「……っ。わ、私は……」
「……必ず助ける。ハウレーンにとっての大切な人も此処にいるんだろう? ……任せておけ」
ユーリは軽くハウレーンの肩を叩いた。
彼女の目は自分のよく知る者の目とそっくりだった。そう、かなみの目。……こんな時でも、自分が危機的な状況でも、他の誰かの事を心底心配している目。だから、ユーリは何を想っているのか判ったのだ。それを訊いて驚くのはハウレーンだった。
「っ……」
そして、ユーリは背を向け、レッドの町へと入っていった。
残されたハウレーンは、ユーリが叩いた肩をそっと触った。
何故だろうか、とても安心が出来る。……何故だろうか、肩当て防具を身に付けていると言うのに、温かみを感じる事が出来たんだ。彼女の事が心配だったのに、不安を取り除いてくれたようだった。
それに……この温かみは……決して嘘じゃない、まやかしじゃないの感じた。
「ハウレーン殿?」
「っっ!? な、なんでしょう!?」
「いえ、心此処にあらずでしたので。大丈夫ですか?」
「は、はい! 勿論です!!!」
慌てて返事を返すハウレーン。
こんな気持ちになった事はこれまでに一度もない。よくわからない感情にハウレーンはただただ動揺する事しか出来な
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