暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
闇の向こうに
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入るフェイバルに対し、レンは《獰猛》に嗤う。

「あーァ?あの()()()()のことォ?あははッ、悪ィけどこちとら、どれくらい長い間《鬼》と過ごしてきたと思ってんの?」

「………………」

音もなく。

目を細める少女は、音もなく手のひらに自らの得物を滑り込ませた。

手足でも《はじいて》しまうか、と適当に考えながら、少年の四肢の動きを注意深く観察していたフェイバルは、だからこそレンの唇が至近距離のユウキに最小限の動きで言葉を伝えたのを見逃した。

「……跳ぶよ、ユウキねーちゃん」

その囁きに思わず少女が訊き返すより――――

一瞬早く。



カンッ。



両者の真横。

ストリートの中央部のアスファルト上に硬い金属音が鳴り響いた。それは場が静かであったことも手伝い、これまでの何よりも強く場を揺るがせた。

「「「―――――――ッ!!」」」

三者が三様の反応を返しながら鋭く振り向く……前に。

ボッシュウウウゥゥゥー!という空気の抜ける風船のような音とともに、猛烈な白い煙が視界を丸ごと覆い尽くした。

「な、なにっ!?」

狼狽えるユウキの襟首を、真後ろから力強い手が引っ張る。

潰されたカエルみたいな声を立てながらも後ろを見た少女は眼を見張った。

「……り、リラ!?」

GGOにて初めて知り合った双子の強気な方。

筋力値優先ビルドの彼女でも、いくら小柄だとはいえ、プレイヤー二人を運搬するのは骨が折れるのか、軽く息を乱していて移動速度もかなりのペナルティを受けて重い。

しかし彼女は欠片も躊躇する様子もなく、汗をいっぱいに浮かべた顔を勢いよく振り向かせる。

「大きな声出さない!何だか知らないけど逃げるよ!!」

「ちょ、あぶっ――――!」

とりあえず手を離して、という叫び声は当然のように聞き届けられなかった。
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