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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
闇の向こうに
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た、柔らかい。だがまったく好きになれそうになく、また慣れそうもできない。

そんな感触が、手首から先を覆っていた。

混乱。

困惑。

だが、それも視覚が戻るまでだった。

レンが、目の前にいた。

俯く顔は長い前髪に隠れ、ほとんど見えない。辛うじて鼓膜が捉えるひゅーひゅーという風鳴りの音のようなサウンドエフェクトだけが、彼が本当に自分の従弟だということを伝えてくる。

「れ…………」

レン、と呼びかけようとした声が、止まった。

気付いたのだ。

この、纏わりついてくるような嫌な感触に。

「……………………ぁ」

()()に。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっッッッッッッ!!!!!!!」

手首まで少年の胸部に埋没していた腕を引き抜き、少女は絶叫しながら、力なく倒れてくる少年を受け止めた。

小柄な身体から伝わってくる体温が自身でもびっくりするほど安心できて、ユウキは幼い子供のように嗚咽し、しゃくりあげながら、かき抱いた小さな背中をより一層強く抱く。

弱々しい、今にも消え入りそうな囁き声にも満たない呼気が耳元で響いた。

「よかっ……た。戻った…んだ、ユ…………ねーちゃ……」

微かに震えるその声はどうやら微笑んだようだったが、しかし直後湿った音とともに粘着質の液体の塊が弾ける音が連続して耳朶を震わす。

「れ、レン!レン!レンッ!!」

「――――まったく、呆れた強情さだったよ。いや、もうそこまで来ると気持ち悪いほどだったね」

必死に呼びかける声を塗り潰すように、至近で声が上がった。

首を巡らせると、髪をボーイッシュにカットした少女がゆっくりと歩み寄ってくるところだった。一瞬、綺麗な声と相まって「誰?」と思いそうになったが、身に着けている山吹色のギリースーツがその少女の正体を言外に突き付けていた。

「フェ、イバルッッ!!」

「おかえり絶剣。君がちゃんと戻ってきたってことは、うん。無事にレン君には定着したみたいだね」

にっこりと微笑み、抱かれる少年に目を落とす少女にゾッとしたものを覚えたユウキは思わず口を開く。

「何を……何をしたの!?」

「くすくす。それ、さっきレン君に訊かれたなぁ」

「いいから答えて!!」

激昂する《絶剣》と呼ばれた少女に、《背中刺す刃》と呼ばれた少女は肩をすくめて声を響かせた。

「《鎧》だよ。君達六王がかつて《災禍の鎧》と呼んでいたものを、彼に植え付けたの」

「――――なッ」

「もともとレン君の中には《欠片》と《因子》があったからね。即興で植え付けた君よりはよっぽど、《彼》
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