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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
闇の向こうに
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―――良くねぇ。いや、最悪だ。
これまであの少年が心を動かすたびに、この部屋は変化してきた。だが、ここにいた期間が一番長い狂怒自身ですら、ここまで縮まった部屋を見るのは初めてだ。
恐らく外の《アイツ》と関係あるんだろうが、とそこまで胸中で呟いた青年は更なる舌打ちを重ねる。
「それに、あの防御力。まさか――――」
その時だった。
前兆はない。
「――――やっと見つけた。ここにいたんだね」
唐突に、声がかけられた。
「「――――――――ッッ!!?」」
寝転がっていた少年も跳ね起きる。
二人の中央。
黒檀のテーブルの上に、まるで最初からそこにいたかのように悠然と立つ、少女がいた。
髪はボーイッシュなショートカット。少し大きめなパーカーと、キュロットスカートを身に着けている。
目深に被ったパーカーフードの向こう側から、背筋が凍るほどに『無邪気』な視線がこちらを睥睨するように動いているのが分かった。
「誰だ手前ぇ!!」
数瞬遅れ、青年はこれがどれだけの異常事態なのか悟った。
ここはある意味、レンの魂――――フラクトライトに最も近い場所だと言っていい。
本質。
底。
少年の本性と隣り合い、触れ合える場所だ。そんなところに見知らぬ者が来るということは――――
「まさか……ここまで浸食されたのか!?怒りで
自分
(
テメェ
)
の守り忘れるたぁなぁ!!……狂楽!」
「分かってる!」
狂楽と呼ばれた少年が、宙に手をかざす。
途端、少女の輪郭が急速にブレ始めた。時折ノイズが走るように、境界線が曖昧になるのだ。
合間に、ジジザザッという異音を発しながらも、少女は一通り周囲を見回した後で満足したように口を開く。
「迎えに来たよ、子供達。充分に喜んだでしょ?充分に怒ったでしょ?充分に哀しんだでしょ?充分に楽しんだでしょ?……なら、そろそろお家に帰る時間だよ」
ゆっくりと。
ゆらり、と。
手が伸ばされる。
折れそうなほどに華奢なその指先に、まるで刀の切っ先を突き付けられたような気がし、狂怒は勢いよく後退した。
だが、現れた少女は動かない。
駄々をこねる子供でも見るかのように、あくまでゆったりとした動きで首を巡らせる。
「狂怒、狂楽。……帰ろう、《ファル》のトコに」
瞬間。
ズ……ッ、と。
足裏が地面につく感覚が急速に消失する。まるで重力がなくなったような――――否、どちらかと言えば頭の上方に吸い込まれるような、嫌な不安定さがあった。
「な……んッ!?」
「……これ、は!!まさか……父様!?」
後ろで弾けた狂楽の声に、正確にはその中に含まれていた単語に、ノドが干上がったよ
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