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DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Story8:『山科悠子』の依頼
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「暮海さん、コーヒー買ってきましたよ。挨拶回りも一通り済みました」

「そうか、ご苦労だったな。かなり個性の強い面々だっただろう?」

「えぇ、こっちが面喰っちゃう程でしたね」

「ふふ、流石中野に住まう人々といったところか…うむ」


 挨拶回りと買い物を終えて、事務所に戻ってきた。暮海さんは俺の持つコーヒー豆を見て、ご機嫌な様子で返してくれた。


「と、依頼については、ホワイトボードで完了の報告をして、依頼完了だ。忘れずにな」

「はい」


 管理は厳しいんだな。まぁ人と関わる仕事だしな。
 取りあえず言われた通り、ホワイトボードに張られた依頼書に赤で『完了』と書き足して置く。これで暮海さんからの依頼は終わりっと。


「書けましたよ」

「うむ、ではこれが依頼の報酬だ」

「え? 報酬ですか? そんなの…」

「いらない、とは言わせないぞ助手くん。キミは私の助手とはいえ、れっきとした『探偵』だ。依頼には必ず報酬が付くし、それを完了したというのなら、その報酬を受け取ってしかるべきだ
 なんにせよ、これで初の依頼を終えたんだ。受け取り難いなら、そのご褒美とでも思えばいい」


 ……そっか、世の探偵はこうやって自立してるんだもんな。暮海さんの言う通り、俺も助手とは言えその一員になったんだ。
 俺は暮海さんの説得に応じ、暮海さんが持つ報酬の入った封筒を受け取り、ポケットに入れた。


「さて、挨拶回りが済んだところで、次は街に出てもらうぞ」

「街に、ですか?」

「あぁ。半電脳体のキミが、現実世界に完璧に溶け込めるかどうか……順応テストの最終段階といったところだ」


 え、じゃあさっきの挨拶回りも、その順応テストの一環だったんですか?


「『新宿』で、聞き込みをしてきたまえ。キミのことが噂になっているかもしれない。何せ、あの姿を目撃されたのだからな」

「あの姿……あ、『壊れたデータの怪人』ですか?」

「あぁ、それがどれだけ噂になっているか、確認も兼ねてのことだ。行ってくれるな?」

「はい、勿論です」


 色々考えてくれているな……本当に、凄い人だ。


「その間に、私は私の仕事を片付けさせてもらう。又吉刑事にも、調査結果を報告しておかないといけないのでね」

「先日の『セントラル病院』と『EDEN症候群』、『隔離病棟』の件ですね」


 俺がそう聞くと、暮海さんはしっかりと頷いた。
 そもそも、あれは又吉刑事が持って来た案件。その報告をするのも、探偵としての義務といったところだろうか。

 頭の中でそう考えていると、「あぁそうだ」と暮海さんが何かを思い出したかのように口を開いた。


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