暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
笛吹きとヴァイオリニスト、癒しを求める
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 春日部さんの提案に対する驚きから固まってしまいましたけど、ガロロさんが春日部さんに問い、その後いくつかの問答がなされたことで僕にもその考えは理解できた。
 普通にこのゲームが続いていた場合、僕たちは全員十日後にはペナルティで死んでしまう。どう頑張ったとしても、ゲームクリアのために謎を解きながら相手と戦うのは、あまり現実的な手段ではない。しかし、今この時なら?
 今は、黒ウサギさんの審判権限によって主催者、参加者の双方が戦闘行為を禁止されている。その間であれば、比較的安全にこの秘密が隠されていそうな城下町を散策できる。
 そして、その散策に対して子供たちを投入するのも、合理的な判断だとは思う。そもそもここにいる人の多くは子供だったりけが人だったりするんだから、その人数を無視するのは、賢い手段じゃないのは分かる。けど・・・

「それでも・・・あの冬獣夏草がいる中で子供たちを出すんですか?」
「彼の言う通りです。子供たちは確かに、ゲームクリアに向けて大きく貢献できるでしょう。しかし、危険がなくなっているわけではありません。そのようなことをさせる以上、本人の承諾が必要ですよ?」

 ジャックさんのその言葉に、その場にいる人の多くが子供たちの代表としてきているキリノちゃんを見た。その視線に対してキリノちゃんは身を縮めたけど・・・

「ご、ご心配いただきありがとうございます。しかし我々も、“アンダーウッド”にすむ同士の一人。ましてや眠ったままの大精霊(かあさん)の窮地を放っておけませんっ」

 と、力強く答えてくれた。こうも気合が入っている様子を見ると、止めたくても止められない。でも、やっぱり心配だし・・・

「奏さんは心配みたいっスけど、たぶん大丈夫っスよ」
「レヴィちゃん・・・?」

 と、そんなことで頭を働かせていたら、僕の隣に座っていたレヴィちゃんからそう言われる。そちらを見ると、レヴィちゃんは提案があるというように小さく手をあげながら発言していたみたいです。

「提案、いいっスかね?と言っても、皆さん想定しているだろうけど自分のご主人を安心させるために、って感じっスけど」
「ああ、なんだ?」
「いえ、せめて子供たちは三つくらいのグループに分けませんかね?という提案っス」

 三つのグループ?

「どうしてまた?わざわざ分けたりしねえで一つに纏めちまった方が、守るには都合がいいだろ」
「いえいえ、まあそれはそうなんスけど・・・やっぱり、効率もほしいっスからね。その他にも、自分、動き回って戦うタイプなもんで、人数が多いと難しくなるんスよ」

 確かに・・・レヴィちゃんは、自分で動きまわって戦うタイプだと思う。そう言う意味合いでは、一度にたくさんの敵に別々の子供を狙われた場合、対応するのは難しいのかもしれな
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