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2部分:第二章
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ているだけであった。
 そして今いる部屋には何もない。ただ彼女がいるだけでその影が見える。それだけであった。
「何もいないんだ」
 妙子はその自分だけがいる部屋の中で呟いた。聞こえるのも彼女の声だけであった。
「いるのは私だけなんだ。それだけなんだ」
 それがわかった。襖の向こうには誰もいないことがわかった。彼女がそこに入るまでは誰もいないということを知ったのだ。
「何だ、それだけだったんだ」
 わかってしまえばどうということはなかった。ただその中で笑うだけだった。
「怖くとも何ともないんだ」
 それを心の中で確かめてお客さんの相手に向かう。妙子の幼い頃の恐怖はこうして何事もなく消え去ったのであった。

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