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父との絆
第三章
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「そしてな」
「ああ、そしてだな」
「学者になってな」
「一緒に深海行くんだな」
「親子でな」
「面白そうだな、潜水艇に潜ってな」
「実際にあんな面白いものないからな」
 久作はコップの中のウイスキーをどんどん飲みつつ我が子に話す。
「その時を楽しみにしていろ」
「そうさせてもらうな、しかし」
「しかし、何だ?」
「親父本当に酒とお菓子好きだな」
 啓介はどっちも現在進行形で楽しんでいる自分の父に少し苦笑いになって言った。
「昔から」
「洋菓子でな」
「洋酒を飲むのか」
「これがまたいいんだよ」
「日本酒は飲まないのにな」
「日本酒だと甘いものが合わないんだよ」
「けれど洋酒だとか」
 具体的に言うとウイスキーだ、久作の好みは。
「いけるんだな」
「チョコレートとかケーキとかな」
「クッキーの場合もあるな」
「とにかくな、洋酒は甘いものが合うんだよ」
 久作的にはだ。
「赤ワインでもそうだけれどな」
「だから今日もか」
「楽しんでるんだよ」
「全く、お父さん毎日じゃない」
 横からだ、母が言って来た。
「結婚してから」
「これとテレビゲームが楽しみなんだよ」
「テレビゲームだけにしたら?お酒とお菓子は過ぎると」
 それこそというのだ。
「身体に悪いわよ」
「大丈夫だよ、俺は酒は強いからな」
「やれやれね、そんなのだと本当に身体壊すわよ」
「だから大丈夫だよ」
 妻の言葉を笑い飛ばしてだ、久作は飲んで食べ続けた。そうして息子にはこう言うのだった。
「じゃあ一緒に潜水艇に乗るぞ」
「そして深海に行くんだな」
「ああ、そうするからな」
 その時を楽しみにしていろとううのだ、家族で家でこんな話をした。
 啓介は父に言われた通り学問に励み優れた論文を多く書いた、それが認められて母校でまずは講師となった。
 そこからだ、さらに研究と論文の発表を続け学界での評価を高めてだった。
 遂に深海に現地調査に入る調査隊のメンバーに選ばれた、八条大学が行うそれにだ。
 深海なので潜水艇に乗り込むことになった、彼には待ちに待ったものだ。だが。
 共に行こうと言っていた父はだ、何と。
「おい、どういうことだよ」
「どういうこともこういうこともな」
 久作は呆れた顔の息子にこう返した。
「見ての通りだ」
「入院だって?」
「肝硬変と糖尿病でな」
 入院の理由はこの二つだった」
「目出度く入院、後は療養生活だ」
「だから言ったのよ」
 病室の久作の枕元に立つ優子は怒った顔だった。
「飲み過ぎ、食べ過ぎだって」
「ウイスキーと洋菓子のか」
「ボトルは一日一本、毎晩甘いものを一杯食べていたら」
「それこそか」
「そうなるわよ」
 肝硬変と糖尿病にというのだ。
「当然
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