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第二章

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「まさか」
「そんなことはないな」
「はい、その先進国のどの国も実際はジャガイモが主食なのは」
「知らない筈がないな」
「それとです」
 ここで秘書はさらに言った。
「その、米作農家の方々から」
「凄い苦情だな」
「お陰でお米が売れなくてと」
「困っているな」
「ですから先生にもです」
「苦情が来ている」
「それも山の様に」
 彼等にしてはたまったものではない、米を食べれば頭が悪くなると高名な大学の教授に言われてはとてもだ。
「何とかしてくれと」
「お米を食べたら馬鹿になる」
「そんな根拠ありますか?」
「ないんじゃないか」
 議員は首を傾げさせて秘書に返した。
「それは」
「科学的に考えて」
「お米に変なものでも混ざっていない限りな」
「はい、鉛なりな」
「そうでもない限りはだ」
「有り得ませんね」
「むしろお米はだ」
 ここでだ、議員は幼い頃から周りに言われて来たことを言った。
「玄米ならの話だが」
「栄養の塊で」
「それだけで完成されている」
「そうした食べものです」
「それを食べて頭が悪くなるのか」
「そんな筈がないですよね」 
 秘書も怪訝な顔になって言う。
「幾ら何でも」
「というか何かを食べて頭が悪くなるのか」
「そしてよくなるのか」
「葱や味噌は聞くがな」
「そんな極端には」
 あの教授の言い様の様にというのだ。
「ない筈です」
「あの教授は何であんなことを言うんだ」
「どうにもおかしいですね」
「少し調べてみるか」
 議員は首を傾げさせつつ秘書に言った。
「ここは」
「そうですね、ただ」
「科学的に調べるか」
「お米のこと、そして麦のこと」
「どちらにも優劣はない筈だ」
 議員はこう思うからこそ言うのだった。
「だからな」
「はい、それじゃあ」
「そのことを調べてな」
「あとです」
 ここで秘書は議員に言った。
「あの教授について調べてみますか」
「教授のか」
「はい、調べてみましょう」
「教授の何をだ?」
「何か言ってることがおかしいですから」
 それで、というのだ。
「ですから」
「教授自身もか」
「何かわかるかも知れません」
「よし、わかった」 
 議員は秘書の言葉を受けて頷いた、そしてだった。
 米と麦の優劣を科学者、栄養学者しかもそうした分野の権威の人物尚且他国の者に調べてもらった、そして。
 先進諸国の食事についても調べた、それからだった。
 教授自身についても調べていった、その調査が終わってだ。
 議員は自身の机でだ、顔を真っ赤にさせて怒っていた。
「とんでもない奴だな」
「全くですね」
 秘書も怒りを隠せない顔で応えていた。
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