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パレオ
第四章
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「あの娘の横に男の子いるけれど」
「そうだね」
 見れば褐色の肌で黒髪を短くしている明るい顔の男の子もいる、年齢は女の子と同じ位か。背は女の子より頭一つ高く黒のトランクスタイプの水着を着ている。一見すると兄妹にも見えるが手を握り合っているのでそれは違った。
「カップルだね」
「相手がいてもね」
「結構見られてるね」
「男の子もね」
 その相手の彼もだった。
「見られてるね」
「嫉妬混じりでね」
「若い娘は人気があるんだね」
「年齢は武器よ」
「武器は君の方がいいと思うけれど」
 フィリップは武器という妻の言葉にこう返した。
「そのスタイルと大人の美貌がね」
「だから二十代後半を過ぎるとよ、しかもね」
「しかも?」
「もうすぐ三十代ならね」
 所謂三十路である。
「尚且つ隣にパートナーがいれば」
「もうそれでなんだ」
「それこそね」
 まさにというのだ。
「誰も声をかけないし見ないわ」
「ビーチの砂位のものかな」
「そんなものよ」
 今のマリーはというのだ。
「これでも昔は違ったけれどね」 
「十代の頃はだね」
「大学の時に友達何人かと最初にここに来た時はね」
「違ったんだね」
「声をかけてもらったわ、けれど今はね」
「あの娘の方がずっとだね」
「やっぱり歳はそれだけで違うのよ」
 微笑みつつだ、マリーは言うのだった。
「そういうものなのよ」
「もうすぐ三十代の人妻は弱いんだね」
「そう思っていないのはあなただけよ」
「じゃあこう考えよう」
 楽しげに笑ってだ、フィリップは妻にこうしたことも言った。
「僕だけが君のよさを知っている」
「前向きになのね」
「これでどうかな」
「そうね、そう考えるとね」
「嬉しいね、君も」
「結構以上にね、じゃあ今晩はね」
 夜のことをだ、妻はビーチで話した。
「ホテルのバーで飲んで」
「二人でね」
「それから楽しみましょう」
 夜にというのだ。
「ベッドで」
「いいね、そうしよう」
「その時だけれど」
「その時?」
「いつもの下着だけがいいかしら」
 ベッドの中での妻の服はというのだ。
「それか水着がいいかしら」
「パレオかな」
 夫はこう妻に返した。
「あの娘みたいにね」
「あの娘ね」
「そう、あのね」
 その地元出身と思われる彼氏といる娘だ、パレオを着た。
「ああした感じのパレオを着てくれるかな」
「あら、あなたもあの娘気に入ったの」
「ああしたパレオの着方した君を見たくてね」
「だからなのね」
「駄目かな」
「いいわよ」
 マリーはくすりと笑って夫に答えた。
「それじゃあね」
「うん、夜はね」
「そのパレオでね」 
 こう言ってだった、そのうえで。
 二人は今はビーチで共にい
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