十四話
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」
何か小動物の鳴き声の様な者が聞こえて視線を下にやると一匹の白いオコジョがいた。いくらか前にネギが飼い始めたペットだったはずだ。修学旅行に連れて来たのかと驚きながらも朝倉はそーっとオコジョへと手を伸ばす。
「おいでおいでー。っと、いっちゃったか」
ゆっくり近づきながら手でこまねいてみるがオコジョはササーっと駆けて行ってしまった。ほとぼりが冷めるまでのいい暇潰しが出来たと思っていた朝倉は小さく肩を落とした。
「朝倉」
「うひゃいっ!」
突如ドア越しに掛けられた声。それは、朝倉が今一番聞きたくない人物の者だった。
「出てこい。直ぐに出てこればまだ罰を軽くしてやるかもしれんぞ?」
(不味い不味い不味いよ!? こ、こうなったら別人のふりをするしか……)
「言っておくが、別人のふりをしても無駄だ。ここにいることは分かっている」
(先生ってエスパーかなにか!?)
「これが最後だ。出てこい」
「はい……」
こうして、3-Aの生徒は全員ロビーで二時間(首謀者の朝倉は三時間)正座することになる。他の教員達は少しでも短くしてあげようとネギを説得したがネギは頑として折れる事は無かった。それどころか正座を終えて帰っていく生徒達に明日寝坊したらまた正座だと追い討ちをかけるほどである。それを聞いた生徒達は早々に布団に入り、ネギは怒らせない様にしようと心にしまうのだった。
――――正座終了後。とある班の部屋
「ハルナのばかばかばかー!」
「ちょ、痛いってばのどか」
「甘んじて受けるといいです」
既に皆が寝静まった中布団の中で話をしているのはのどか、はるな、夕映の三人だ。ハルナが策謀した結果、こんな結末を迎えたのだからのどかが怒るのも無理は無い。
「もう、ハルナなんか知らない!」
そもそものどかは自分の想いを伝えることに消極的だったのだ。生徒と先生の関係である今、想いが叶う確立低い事など自明の理なのだから。しかも正座中に生徒とキスをするはずがないだろうとネギが延々とお説教をしていたのだ。最低でも卒業をしなければ相手として成立しないと言われ続けたに等しいのどかの怒りはそうとうなものだ。
「夕映〜」
「今回ばかりはハルナが悪いです」
夕映もハルナ同様のどかに告白させようという気が多少はあったが、まさかこんなことをしでかすとは思わなかったのだ。しばらくのどかに恋愛関係の話はタブーだと心に留めながら夕映はハルナを無視して眠りについた。
「良かれとおもってやったことなのにぃ〜」
良かれと思えば何をしてもいいわけではない。つまりはそういうことなのである。
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