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リリなのinボクらの太陽サーガ
闇王
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ようね」

姿勢を正したカリムに無限書庫で見つけた書物を渡し、早速彼女は言われるまま読み始める。最初は普通の様子だったが、しばらく読み進めていく内に段々彼女の表情が真剣なものへと変化していく。

「はやてさん……この本に書かれている事は真実だと思う?」

「確証はあらへんけど……こんな所に嘘を書いても何の意味もないだろうから、多分全て真実やと思う」

「だとすれば……これは由々しき事態よ。それもとんでもない意味で……」

カリムと私が悩んでいる内容を知らないヴィータとシャッハは首を傾げているが、むしろ知らない方がある意味幸せかもしれない。だってここに書かれている内容は……いや、それは二人も読んでから話すとして、今は書物の内容を説明しておこうと思う。

ファーヴニルを打ち倒したのは覇王クラウス・G・S・イングヴァルト。だけど彼一人で封印を成し遂げたわけやあらへん。ニダヴェリールに住む人達の、命を賭けた協力があってようやく封印できたものやった。そこまではユーノ君からの情報で既に判明しとる。せやけどこれまでの間、封印の方法がわからんかった。だから私達は総出でその方法を探していたのだ。それでこの文献はファーヴニルを封印した重要人物である覇王と、彼に最も協力した名も無き二人の女性……彼らが何をしたのか、簡潔にだが記されていた。

かつて聖王オリヴィエを失い武者修行に明け暮れていた覇王クラウスは、修行中に彼が治めるシュトゥラを狙う某国の放った刺客に襲われ、返り討ちにこそしたものの、毒針を打たれたせいで身体中に毒が回ってしまい満足に動けなくなってしまう。それで死の瀬戸際に立たされた彼だったが、幸運にも近くに来ていたある女性に命懸けで毒を抽出してもらい、更に体内に残留している毒が完全に排出するまで献身的に介抱してもらった事で、何とか一命を取り留める。見も知らぬ他人なのに命を救ってくれたその人こそ、彼に最も協力した女性の片割れ……ニダヴェリールの集落に住む心優しき娘、ルア。

やがてクラウスは集落の長の善意もあって、体調が完全に回復するまでの間、そこで厄介になる事を承諾する。すると外の世界から来た彼に興味津々な様子で、長の娘が様々な話題を持ちかけてきた。クラウスにとっては当たり前でも、少女にとっては新鮮なもので、いつの間にかクラウスも会話を楽しむようになっていた。察しの通り、彼女こそもう一人の協力者……広い世界に憧れて夢を持つ少女、クレス。

そうしてクラウスは集落で穏やかな生活を堪能し、ルアやクレス、村の人達との仲を深めていく。ルアとクレスがクラウスの修業を見学したり、ルアの案内で集落の近くにある秘境に行ってみたり、クレスの趣味である作詞作曲を一緒にしたり……長い戦乱ですさんでいたクラウスはいつしか、この暮らしが自分の心を癒している事に気
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