闇王
[11/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルアは怖気づいたシュトゥラ軍や、祖国に見捨てられて行き場を失った某国軍の生き残りに、ニダヴェリールを守るために力を貸してくれるように必死に嘆願したのだ。彼女や彼女の故郷を襲ったのに、どうして自分達にそんな事が言えたのかわからず、某国軍は困惑した。シュトゥラ軍の方も、王に匹敵する実力が無ければ意味が無いと諦めに近い言い訳をしてきた。それでもルアはクラウスが戦っているのに、自分達は何もせず逃げる事だけはしたくないと、戦う力が無くても応援する事は出来ると、逃げ腰の彼らに頑張って説得していた。
そしてクレスは動揺でパニックを起こしかけていた彼らの心を落ち着かせるべく、安らぎの歌を歌った。鎮魂歌とも子守歌とも言える歌詞だったらしいが、その旋律は彼らの不安を取り除くのに一役買い、ルアの言葉が彼らの心に届く手助けをした。その後はクラウスに応援する気持ちを込めて、彼と共に作り上げた曲をせいいっぱい歌う。彼女はルアのように説得などの交渉は出来ないと自覚していたものの、それでも自分達を守ってくれている彼に想いを伝える事は出来ると、彼を信じて私達もここで自分の恐怖と戦っていると、ひたすら伝え続けていたのだ。そうやって一人で戦っている訳じゃないと教え続ける事で、長い戦いで疲労してきていたクラウスの心をずっと支えていた。
やがて二人の純粋でひたむきな想いが伝わったのか、元某国軍とシュトゥラ軍、ニダヴェリールの人間が奇跡的に絶望から立ち直ってくれた。当然、様々なしがらみや因縁、罪悪感などでそれぞれ思う所はあったのだが、それでも……この時だけは恨みつらみを心の底にしまって、初めて手を取り合ったのだ。皆……ルアと想いを一つにして、クレスの歌を歌った。言語、国境、次元、幾多の壁も乗り越えて、一緒に歌い続けた。
ここで重要なのは、この歌が届いた相手が実はクラウスだけでは無かった所だ。驚いた事に……ファーヴニルも聞いていた。歌を聞いて……反応を示していた。真正面で戦っているクラウスが野生の勘とも言い表せる観察眼でそれに気付き、ジェスチャーでルアに伝え、アイデアがひらめいたルアがクレスにその方法を教える。彼と彼女達が全ての命運を賭けて挑んだ方法……戦いを終わらせるために選んだ方法が、安らぎの歌だった。この歌の心安らぐ旋律を聞き続けたファーヴニルは、記憶に刻み付けるようにクラウスとルア、クレスの姿を複数の眼に焼き付けた後、次第に子供が眠るように大人しくなり、やがて星からあふれ出した光に包まれて封印を施され、卵の状態になりながら地中深くへと潜って行った。そして……世界の命運を賭けた戦いが終わったのだ。
その後は戦後処理として、封印で開いた大穴を塞ぐようにシュトゥラが責任を持って遺跡を作って、封印が解けないように無数の仕掛けも施した。また、元某国軍が自国に戻って腐った首脳
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ