Vivid編
第三話〜妹たち〜
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とって先程までとは打って変わって冷水を浴びせられた気分だ。しかもそれを笑顔で言われたのだから、二人にとっては生きた心地がしなかった。
だからだろう、次にライが言った言葉をすぐに理解することができなかったのは。
「僕ができるのは間違って、苦しんで、それでも進もうとする妹たちを支えるか、一緒に背負ってやることしかできない。だから、その気持ちを――――今、罪の意識を持つ妹たちが勝手に離れていくことなんて絶対に許さない」
ライにとって自身はあの事件に置いて被害者であるという認識はない。
例え、巻き込まれ、利用され、奪われたとしてもその相手を傷つけたのであれば、それはもう当事者でこそあれ、被害者などではありえない。そう言った考えを持っているからこそ、ライは形だけの妹たちだとしても共に歩む形を望む。
じわじわと水が乾燥した砂に伝わっていくように、ライの言葉が二人の頭に浸透していく。その意味を理解し、ライに笑顔を向けられた二人はそのままポロポロと涙をこぼし始めた。
流石に妹の泣き顔を直視することは避けたかったライは、二人の肩をそれぞれ持つと軽く引き寄せてやる。すると、二人はそれぞれライの腕に齧り付くように顔を寄せてきた。
「さっきは怖がっていたけど、今も怖い?」
二人に尋ねると、顔を隠したまま首を左右に振る二人。その反応が嬉しくてライの頬は自然と緩む。
「怖かったのは、ライっていう人間の事をよく知らなかったから?」
この質問には即答されなかった。
少しだけ間があり、どこか遠慮がちに頷く二人。妹に酷いことを聞いたかと考える一方で、家族になりきれていない自分と妹たちに一抹の寂しさを感じるライであった。
(他の妹たちとも、一度キチンと話し合うべきなのかな?)
取り敢えず、二人が泣き止むまでは動けないライは、内心でそんなことを思っていた。
そして彼の視線は、先程から自分たちを覗いていると思われる気配のする『何もない壁』に固定されていた。
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