第1章:平穏にさよなら
第6話「導きの光」
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
司が祈るようにシュラインを握ると、魔力弾を阻むように防御魔法が展開される。
「くぅっ...!」
しかし、それでは防ぎ切れずに、シールドは割れてしまう。
「志導君っ!」
「大丈夫!」
司の悲痛な叫びを跳ね除けるように答える優輝は、まだ残っている魔力弾の弾幕へと突っ込む。
「(やり方は分からないはず。...だけど、分かる!)」
〈存分に扱ってください!私はマスターの全てに応えて見せます!〉
優輝の集中力が極限まで高まる。迫りくる魔力弾を紙一重で避け、当たりそうなのは杖で弾く。普段はしないはずの動きでも、護身術などによって鍛えられた判断力で見事に全てを凌いでいた。
「ひっ....!?」
「緋雪!」
魔力弾の弾幕を抜け、突っ込んでくる優輝に怯んだ緋雪に、優輝は一気に間合いを詰める。
「(動揺している...!今がチャンス!)リヒト!」
〈はい!〉
優輝がリヒトに呼びかけると、緋雪が手足を拘束されて動けなくなる。拘束魔法であるバインドだ。
「(今の緋雪は、あまりの吸血衝動に理性を保てない状態...つまり、正気じゃない。なら、正気へ戻す魔法があれば...!)」
優輝はそこまで考えてとある魔法が頭に浮かぶ。本当は知らないはずなのに、すぐに理解できたその魔法を優輝は使う。
「自らの志を見失いし者よ、今こそ思い出せ...。ゲッティンヒルフェ!」
〈G?ttin Hilfe〉
杖を中心に、巨大な魔法陣が展開され、術式の環もそれを中心に廻るように展開される。
「....綺麗....。」
そう呟いたのは、誰だったのだろうか。倉庫内が優しい光に包まれて何も見えなくなる。
=優輝side=
「...大丈夫だよ、緋雪。お兄ちゃんが、間違った事をしても、導いてあげるから。」
「お兄...ちゃん....。」
光で何も見えないそんな中、僕は緋雪に近寄り、抱きしめる。
「辛かったら、我慢しなくてもいい。今まで僕らは支え合ってきたでしょ?だから、僕を頼ってもいいんだよ?」
「でも....。」
落ち着かせるように、僕は緋雪の頭を優しく何度も撫でる。
「僕としては、僕に迷惑を掛けるより、一人で抱えっぱなしの方が困るかな。お母さんも前に同じような事言ってたでしょ?僕もそう思うんだよ。」
「お兄ちゃん....。」
光が晴れると同時に、緋雪から小さく嗚咽が聞こえてくる。多分、泣いているんだろう。
「...ほら。吸血衝動はまだ収まってないはずだから、吸っていいよ。」
緋雪の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ