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モラ
第二章

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「だから今はいないよ」
「遊びに行ったんだな」
「で、あたしも暇だって思って昼寝しようとしていたら」
 そこで、というのだ。
「急に仕事が入ったんだよ」
「服のか」
「そうだよ」
 婆さんはこう言うのだった、皺が目立つ黒い肌の顔でだ。顔立ちはアフリカ系の血がかなり強い感じだ。
「あたしの店のね」
「服の仕立てのか」
「そうだよ、それでだけれど」
「ああ、仕事な」
「手伝ってくれたね」
 二人がそうした場合についてもだ、婆さんはルイスに話した。フランコもそこにいる。
「ちゃんとお金も払うからね」
「報酬付きか」
「あと昼飯もあるよ」
 それもというのだ。
「悪い話じゃないだろ」
「どうする、兄貴」
 フランコはここまで聞いて兄に問うた。
「乗るか?」
「暇だしな、今」
 ルイスはこう弟に返した。
「それじゃあな」
「別にだよな」
「いいか」
「ああ、働いてもな」
「どうせこのままだと寝るだけだ」
「お客さんがいないから」
 二人が経営しているホテルはだ、今日は。
「だからな」
「それに俺もな」
「失恋をか」
「忘れたいしな、寝るか何かやるかして」
「じゃあやるか」
「昼飯も出るしな」
 それでとだ、こう言ってだった。
 そしてだ、二人で婆さんに言った。
「じゃあ今からな」
「手伝わせてもらうな」
「婆さんの店に行ってな」
「昼飯も貰うぜ」
「昼飯はたっぷりあるからね」
 婆さんは二人が自分の頼みを受けたと聞いて笑顔で応えた。
「じゃあ頼むよ」
「ああ、じゃあな」
「今からな」
 二人はホテルの入口に本日閉店という札をかけてだ、そしてだった。
 婆さんの店兼家に向かった、その店は二人のホテルのすぐ傍にあった。
 店に着いてだ、婆さんは二人に言った。
「ホテルで本日閉店かい?」
「駄目か?」
「俺達がいないからかけたんだけれどな」
「何時来るかわからないだろ、お客さんは」
「札には連絡先も書いてるからな」
「お客さんだったら連絡してくるさ」
 二人はそれぞれの携帯を出した、この諸島でも携帯電話がかなり普及していて二人も普通に持っているのだ。
「ここにな」
「それか俺のところにな」
「だからお客さんが来てもすぐにわかる」
「安心さ」
「ならいいがね、じゃあね」
 婆さんは二人の話を聞いてあらためてだった。
 頷いてだ、こう言った。
「頼むよ、今から」
「ああ、それでな」
「俺達は何をすればいいんだ?」
 二人は婆さんに尋ねた。
「仕事の手伝いっていうけれどな」
「この店服の仕立て屋だからな」
「服を仕立てなおすんだろ?」
「それだろ」
「そうだよ、それをやってもらういよ」
 急に入ったその仕事をというのだ。
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